2023年09月26日掲載
前回、説明したウェブアクセシビリティ試験結果に続いて、師匠が試験方法について教えてくれるようです。今回は、試験で使用するチェックリストのお話。
- ウェブアクセシビリティ職人「見習い君」と「師匠」がアクセシビリティな世界を目指す
- このストーリーは、新人ウェブアクセシビリティ職人「見習い君」とベテラン職人「師匠」、解説を担当する「秘書」を通して特に障がい者をはじめ身体的な制約がある方たちがウェブ利用時にどのような障壁にぶつかり、どのような工夫をして克服しているかなど「ウェブアクセシビリティ」の実例をはじめ「ウェブアクセシビリティ」と共に重要な「社会的アクセシビリティ」についても紹介していきます。
試験時に必要なチェックリスト
師匠:結論から言うと、試験時に必要なチェックリストは2つある。
見習い君:前回、さらりと出ていた「達成基準チェックリスト」は、試験時に必要なチェックリストの一つですよね?
師匠:そうじゃ。達成基準チェックリストは、目標とするレベルを満たす達成基準を並べて、その達成状況を示すリストじゃ。ただ、達成基準チェックリストで試験を行うのは難しい。試験を行うにはより細かい「実装チェックリスト」を作る必要があるのじゃ。
見習い君:実装チェックリスト?達成基準チェックリストとの違いは何ですか?
師匠:実装チェックリストとは、試験をスムーズに行うためのチェックリストだ。達成基準を満たす方法を整理したものだ。達成基準によっては、達成方法が複数ある場合があるだろう。
見習い君:えっ?すぐには思いつかないけど・・・。
師匠:たとえば、第6回に説明した画像の代替テキスト(新しいウィンドウが開きます)と第7回のキャプチャ(新しいウィンドウが開きます)は、同じ達成基準1.1.1に含まれている。
見習い君:なるほど。でも、達成方法をすべてリストにするのは大変そうだなあ。このチェックリストは一から作らないといけないのですか?負担が大きいのでは…?
師匠:大丈夫。既存の実装チェックリストのExcelファイルがある。それを活用して、自分の実情に合わせてカスタマイズして使えば良いのじゃ。「3.1.1 実装チェックリストの例」以下にあるリンク「実装チェックリストの例 2020年12月版(xlsx形式, 86KB)」(新しいウィンドウが開きます)
見習い君:良かった!それを使って試験をすれば良いのですね。実装チェックリストで問題を見つけた場合、その項目に関わる達成基準を満たせていないということですね。その結果を達成基準リストに反映させれば良いということですね。
師匠:そうじゃ。実装チェックリストに沿って試験した結果を整理して、達成基準チェックリストに書き込んでいけば良い。できあがりイメージがあるので以下のページを参考にしつつ、作成すると良い。参考①:達成基準チェックリストの例(新しいウィンドウが開きます)
※参考②:NTTクラルティ公式サイトの試験結果の達成基準リスト
見習い君:なるほど。チェックリストの使い方がわかりました!
師匠:うむ。この達成基準リストの結果で対応度が決まるということじゃ。このあたりは前に教えたのを覚えてるかい?ウェブアクセシビリティ方針‐第15回(新しいウィンドウが開きます)
はい!例えば、「レベルAの基準、レベルAAの基準それぞれをすべて満たす場合、『レベルAAに準拠』と記載する」という内容でしたよね。
師匠:そうそう。よく覚えていたな。
見習い君:思ったより難しくないんですね!webサイトに載せるのは、達成基準チェックリストだけですよね?
師匠:うむ。達成基準チェックリストはwebサイトのウェブアクセシビリティ状況を知るための基本的なリストなので、webサイトに載せる必要がある。実装チェックリストの掲載も「掲載が望ましい」とされているが必須ではない。
見習い君:分かりました。次からは、結果が良い達成基準リストを載せられるよう、アクセシブルなwebサイトを作るぞ!
師匠:おお、頑張るのじゃ!
秘書:今回解説した実装チェックリスト、達成基準チェックリストについては、下記をご参照ください。
【JIS X 8341-3:2016 試験実施ガイドライン 2020年12月版(2020年12月25日公開)】(新しいウィンドウが開きます)