2014年02月24日掲載
手話シンガーとして活躍し、全国各地に手話歌を通してコミュニケーションの大切さを伝えている、水戸真奈美さんにお話を伺いました。 主な活動内容と東日本大震災後、現地へ足を運び積極的に復興支援活動を行っている内容についてご紹介します。
手話で気持ちを伝えたい
聞き手: 水戸さんが手話シンガーとして活動しようと思ったきっかけを教えてください。
水戸: 学生時代、地元のスーパーでアルバイトをしていた時に、聴覚障害者のお客様が、私に手話で何か尋ねてきましたが、その手話が分からずショックを受けたことがあります。その後、地元の手話サークルに参加して手話を習い始めましたが、歌手になりたいという夢から上京し、手話からは離れていました。
ただ、ずっと頭のどこかで手話が気になっていたようです。私自身歌詞を書くので、ある日ふと、私の歌声が聞こえなくても気持ちだけでも伝えられたらいいなと思い、手話をつけ始めたのです。
聞き手:どのようにして歌っているのですか?
水戸:全ての曲、手話をしながら歌っています。
ダンサーも一緒にステージに立って歌うこともありますので、ダンスにも手話の動きを取り入れて踊ってもらうことがあります。
聞き手:歌詞を全部手話で表現して歌うのですか?
水戸:いいえ、歌詞通りの手話ではありません。歌は、比喩表現を含めいろいろな言葉がありますので、言葉に込められた気持ちを手話で表現しながら歌っています。
歌で表現する時の手話は、聴覚障害者の方と一緒にその曲に合う手話表現を考えたり、オリジナルの手話表現を作ったり、その気持ちと曲の雰囲気に合わせた手話表現にしています。
聞き手:なるほど。主にどのような活動をしているのか教えてください。
水戸:各イベントや老人ホームなどでライブを中心に行っています。手話歌というとイメージが湧かないと思うのですが、手を動かしていると子供でも不思議と興味を持ってくれます。
知っている曲の手話を教えると皆さん本当に楽しそうに一緒にやってくれたり、アンコールもかかります。手話は人を元気にしてくれる力があると、いつも感じています。
最初は障害者の方のために歌を歌いたいと思っていましたが、手話は耳の不自由な方だけの言語ではなく、コミュニケーション方法の1つでもある素晴らしい言葉だということをみなさんに知ってもらいたいと思うようになりました。
聞き手:手話を知ってもらいたいと思う印象的なできごとがあったのですか?
水戸:私はライブハウスとかで歌うよりも、ショッピングセンターや聴覚障害者の方のイベント、講演などに呼んでもらうことが多いです。
ある時、精神障害のあるお母さんに「水戸さんの手話歌を見て、すごく晴々しくて心が癒された」と言ってもらい、とても嬉しかったことがあります。
聴覚障害者以外の方にも「手話ってこんなに楽しいものと思わなかった」と言ってくれる方が増え、手話は、障害がある方ない方関係なく、どんな方でも楽しめるものだと思っています。
聞き手:手話で気持ちを伝えていきたいと思うパワーみたいなものはどこから来るのですか?
水戸:みなさんの笑顔です。昨年の3月に東日本大震災があり、多くの方が大変悲しい思いをされました。私は宮城県出身で、子どもの頃よく行っていた場所なども津波で被害を受けました。もう言葉にならない状況で、何かできることはないか、みなさんの笑顔を取り戻したいと考えて支援活動をしています。