みなさんは、公共交通機関というとどんな乗り物を思い浮かべますか?
電車やバスなどさまざまな乗り物がありますが、年々障がいのある人にも利用しやすく進化してきています。
そこで今回は、手動と電動アシストタイプ、2人の車いすユーザが「芳賀・宇都宮LRT」をバリアフリーチェックしてきましたので、ご覧ください。
芳賀・宇都宮LRTとは
芳賀町・宇都宮市で整備を行い、2023年8月に宇都宮ライトレール株式会社が運行を開始した次世代型路面電車です。
宇都宮市から芳賀町までの東側に向けた約15kmの区間を運行していて、19か所に停留場が設置されています。
当事者が実際に利用した様子をお届け!
<運賃>
ホームにある発券機で整理券を発券するか、もしくは車両に乗り込むときに交通系ICカードをタッチすれば乗車できます。ただし、整理券を使って乗車する場合は、先頭のドアで清算が必要となるため乗車位置に注意が必要です。
発券機や交通系ICカードをタッチするところは、車いすユーザの胸から顔くらいの高さのため、ストレスなく使用できます。
また、乗車料金には障がい者割引を利用できます。
整理券と交通系ICカードの場合は、通常のように発券・タッチした後に進行方向に対して一番前のドアから乗って障害者手帳を提示すれば運賃箱から差額分が返金されます。
介助者を加えた割引制度については以下をご覧ください。
<ホーム>
ホームと車両の間は、隙間が5cm以下で段差も3cm以下しかないため、車いすでもスロープを使わずに乗車できます。
また、宇都宮駅のホームには、線路の奥の柵に車いすマークが書かれたボードが取り付けられていて、車いすスペースや多目的スペースがあるドアの場所を指しています。電車に乗る場面でも、ホームの地面やホームドアに車いすマークがありますが人混みで見えにくくなることがあります。
しかし、線路の奥にあれば、電車が停車していない限り見失うことがありません。
<車内>
編成の先頭と後方のドアから入った場所に車いすスペースが設けられており、車いすユーザ約2人が乗車できるスペースがあります。障がい者割引を利用したい場合は割引料金の清算があるため、先頭のドアからの乗車をおすすめします。
また、真ん中のドアから乗車しても広いスペースがあります。混雑時には活用できますが、入ってからスペースまでに距離がある場合があったり、整理券の場合は清算が必要になったりするので、先頭の車いすスペースを利用するとよいでしょう。
<トイレ>
宇都宮駅東口から芳賀町工業団地管理センター前までの停留場区間の内、5か所の停留場には車いすユーザも利用できるトイレが設置されています。
ボックス型のトイレの場合は、入り口がスライドドアになっています。しかし、トイレ前にあるスロープの横幅は車いす1台分ほどありますが、平坦な場所はありません。そのため、旋回をしなくてもドアを開けられるようなコツが必要です。
また、「飛山城跡停留場」にも車いす用トイレが設置されていますが、停留場の出入りには、20mから30mの坂が2段になったスロープを通るため体力が必要になります。車いすユーザでトイレを利用したい場合は、「飛山城跡停留場」以外のトイレを利用するとよいかもしれません。
「芳賀・宇都宮LRT」はいかがだったでしょうか。取材で乗車してみると、電車や車よりも走行中の揺れが少なくバランスをとるのが苦手な車いすユーザでも安心感をもって乗車できました。その上、停留場に近づいたときの減速についても緩やかに速度が落ちるため、揺れの不安から力んでしまうことがなく大変快適です。
また、「芳賀・宇都宮LRT」については、開発者へのインタビュー記事も掲載しています。詳しくは、以下のリンクからご覧ください。