毎年12月3日から12月9日まで「障害者週間」です。
この期間は、各自治体を中心に積極的に障がいへの関心や理解を広げる取組みが行われています。
障がい者が安心して暮らせる社会になるには、意識啓発など心のバリアフリーが必要です。
特に最近、視覚障がい者のホーム転落事故を受け、障がいへの関心や理解を広げる取組みが交通機関などでも始まっています。
2020年東京オリンピックパラリンピック・に向けて観戦する会場へのアクセス方法として、電車の利用などが想定されることから、駅の改修工事が都内を中心に急速に進んでいます。
多くの人が利用するからこそ、誰もが安心して利用できるよう、バリアフリーについて一緒に考えてみませんか?
駅のバリアフリーってどんなこと?
通勤・通学、出かけるときなど日常生活で、駅を利用する人が多いかと思います。しかし、障がい当事者でなければ、ちょっとした配慮など気づかないことが多いかもしれません。
例えば、ホームや改札にいくまでには、多かれ少なかれ階段があります。
その際、車いすやベビーカーを利用している人は、一人で移動することが難しいです。
そこで、段差を解消するためスロープやエレベータが設置されています。
また、視覚障がい者のために、点字ブロックが敷いてあり、階段、改札、エレベータなどへ誘導します。
最近では、視覚障がい者のホームからの転落事故を受け、ホームドアの設置が進められています。
段差解消やエレベータ、ホームドアなどは、障がい者だけでなく高齢者はもちろん誰もが便利に使えるものではないでしょうか。
意外と知られていない駅のバリアフリー
駅にはその他、意外と知られていない配慮があります。
一つは、視覚障がい者向けに知らせる「音サイン」です。
ここに階段があるということを知らせるために、ホームの階段の位置では鳥の鳴き声がしています。
トイレの位置やエスカレータの上り下りを音声で案内する駅も増えてきました。
また、聴覚障がい者向けに、電車が来たことを光で知らせるために、ホームの床や線路の部分が点滅するよう工夫された駅もあります。
その他、エレベータやエスカレータが設置されていない駅でも、階段昇降機が設置されていたり、電車に車いすの方が乗るときには、駅員がスロープを設置したり、様々な配慮が行われています。
これらは普段意識していないと気づかない配慮かもしれません。
国が行なっている取組みについて
このように、鉄道駅におけるバリアフリー化が推進され、様々な取組みが行われています。それらを後押しする法律として、高齢者・障がい者・子ども連れの方などが安心して移動や施設の利用ができるよう「バリアフリー法」があります。
移動を円滑にする目標として、1日平均利用者数が3,000人以上の鉄道駅について、平成32年までに段差の解消、視覚障がい者の転落を防止するための設備の整備など、可能な限り実施するとされています。
国土交通省では、毎年バリアフリー設備の進捗状況を公表しています。
軌道駅及び鉄軌道車両のバリアフリー化状況(新しいウィンドウが開きます)
内閣府では、毎年障害者週間に、障がい者への関心・理解を広げるための取組みを行っています。
「心の輪を広げる体験作文」及び「障害者週間のポスター」の入選作品を展示し、障がいに関するセミナーやフォーラムを開催します。
多くの人に障がいを知ってもらう機会です。
平成28年度障害者週間行事について(新しいウィンドウが開きます)
身近に利用する駅のバリアフリー。
ほとんど知らなかった、気づかなかったということもあるのではないでしょうか。ふと周りに目を向け、耳を傾けてみると新しい発見があるかもしれません。
また、今回は主に駅のハード面のバリアフリーでしたが、ソフト面のバリアフリーも必要です。
駅などで困っている人がいたら、まず声をかけてお互い助け合うことができるといいなと思います。
特に、視覚障がい者はどこに何があるかわからない場合があります。
その際、急に腕をつかんだりせず、声をかけてもらえると、視覚障がい当事者は安心します。
そうした普段の生活から、障がい者への関心や理解が広がると、誰もが暮らしやすい社会に近づくのではないでしょうか。