2010年11月30日掲載
誰もが楽しめる夢の国「東京ディズニーランド」。園内は、障がいのある方も安心して楽しめるように、バリアフリーへの配慮がなされています。 そこで、今回は東京ディズニーランドのバリアフリー情報と株式会社オリエンタルランドでバリアフリーエキスパートとしてご活躍されている野口様からのコメントをご紹介します。
東京ディズニーランドでは、障がいに応じた様々な工夫がされています。ここでは、肢体・聴覚・視覚障がいの方が利用できる主なサービスをご紹介します。
肢体不自由者向けのサービス
車いすご利用ゲスト優先レストルーム
車いすをご利用の方や広いスペースが必要な方のためのレストルーム(オストメイト仕様(注)です。
スケールモデル(メインストリート・ハウス)
アトラクションやディズニーのキャラクターを木製で作成したもの。本物を忠実に再現しているため、乗り物の安全装置(シートベルトなど)を確認することができます。
車いすご利用ゲスト専用鑑賞エリア
パレード鑑賞スペースを3箇所ご用意しています。
車いすのまま利用できるアトラクション
- ウエスタンリバー鉄道
- 蒸気船マークトウェイン号
- ミッキーの家とミート・ミッキーなど
注)オストメイト仕様とは人工肛門・人工膀胱造設者など、外見では見分けがつかない内部障がい者用トイレです。
視覚障がい者向けのサービス
常設触地図
東京ディズニーランド内の施設の配置を触って理解していただける触地図を設置しています。
触地図はメインストリート・ハウス前、メインストリート・ハウス内(音声仕様)、プラザテラスなどに設置されています。
スケールモデル(模型)
メインンストリート・ハウスにて、アトラクションのスケールモデルをご用意し、手にとって触れることができ、実際に手で触れることで、キャラクターの特徴や、形の特徴をつかむことができます。
触地図ガイドブック
凹凸のついた図面に点字を施した地図をご用意。東京ディズニーランドの全体図のほか、各テーマランドのアトラクション、レストラン、ショップおよびレストルームをご紹介していますので、それぞれの施設への方向を確認できます。
点字メニュー
ワゴンタイプを除いた全店舗で、主なメニューの点字メニューをご用意。
誘導用ブロック
ディズニーリゾートラインの東京ディズニーランド・ステーションおよびバス&タクシーターミナルから園外の総合案内所のイーストゲート・レセプションまで、誘導用ブロックが敷設してあります。
聴覚障がい者向けのサービス
ストーリーペーパー
アトラクションのストーリー、ナレーションの一部などをご紹介します。
手話通訳
園内には手話を勉強中のキャストがいて、手話がデザインされたピンバッチを胸に付けています。
デジタル公衆電話
東京ディズニーランドに設置されている電話は、全て音を拡張することのできるデジタル公衆電話です
字幕テロップ
トゥモローランド内にあるシアタータイプのアトラクション「キャプテンEO」では、日本語字幕でアトラクションを楽しめます。
字幕表示システム
字幕表示システムは専用端末機を使用して、アトラクションを楽しめます。(日本語、英語、中国語にも対応)。
そのほか利用できるアトラクションについての詳細は、東京ディズニーランドオフィシャルホームページでご確認ください。
東京ディズニーリゾートバリアフリー情報(新しいウィンドウが開きます)
夢を叶えるお手伝いに携わり続けたい
株式会社オリエンタルランドCS推進部CS推進グループの野口浩一様から東京ディズニーランドのバリアフリー環境作成にあたっての想いなどをご紹介します。
「出来ること」「出来ないこと」を理解し認識することが大切
「レディーファーストが当たり前な環境」これが実現したらどんなにか素晴らしいパークになるだろう。
障がい者用の席、子ども用の席、この様な「誰のための席」が存在する現実で、真の「平等」や「ユニバーサルサービス」は浸透しません。
健常の方に比べ、障がいのある方はできることが限られる場合が多く、やりたいことに多くの制限が生じます。いくらハード面が充実していてもソフト面が充実していなくてはその効果は半減してしまう。大切なことは私たち健常の方が障がいのある方々に対し「出来ること」「出来ないこと」をしっかりと理解して認識すること。つまり「相手を思いやる気持ち」を持つことではないかと感じています。
いつの日か、障がいによって身体の機能が低下している方々がごく普通に鑑賞エリアの最前列でショーやパレードを楽しめる、ピザやハンバーガーを友人と一緒に並んで購入できる、そんな「誰のための席」ではない、誰もが「やりたかったことが出来た!」と言えるパークにしたいと思っています。
私たちキャストは、人間力で誰もが楽しめる夢の国、夢を叶えるお手伝いに携わり続けていきます。
「なぜ必要なのか」を共有することが苦労だった
企業である以上、投資には勿論限界があります。バリアフリー案件についても他と同様に使用目的や費用対効果についての考え方を、理解して共感を得ることはとても大きなハードルでした。例えば一言で「肢体不自由者」といっても、障がいの症状によって個人差があり「できること」には大きな開きがあります。このような違いを理解頂くこと。つまり物を創ることよりも創るための理由「なぜ必要なのか」この考え方を共有することが最も苦労した点でした。
この考え方の共有が図れれば、私たちキャストがこれまで培った経験と高いスキルによって、テーマパークという非現実的なステージを創り続けることができると感じています。