2023年09月12日掲載
視覚障がい者は、物事を目で見て確認することが難しいため、日常生活で不便を感じています。
エアコンの温度調節、郵送物の宛名確認、出かけた先の入り口など見え方によってもさまざまです。
今回は、そのような日常のお困りごとを助けてくれるスマートフォンアプリ(以下、アプリ)を介したサービス「アイコサポート」をご紹介します!
開発した株式会社プライムアシスタンスの藤井さんと藤田さんに、視覚障がい編集部員がお話を伺いました。
ぜひ、ご覧ください。
「アイコサポート」とは
オペレーターがスマートフォンのカメラ越しに見た映像を声で案内するサービスです。
書類の確認や行きたいお店までの道案内など、人それぞれの用途に合わせて対応可能です。
使用にあたり、アプリをダウンロードして、本会員(有料プラン)に加入する必要があります。
→月額:5,500円(税込) 120分(回数制限なし)
→利用時間:9時から21時(年中無休)
※Android端末には対応していません
「アイコサポート」の使用例
- ・アプリを起動して、通話を開始する
- オペレーターに要望を伝えます。
- ・見てほしいものにスマートフォンのカメラを向ける
- 自動販売機で、お茶を購入する場合、配列や値段などを聞きます。オペレーターから、カメラの位置を「右に動かして」などの案内があります。
その他、名刺やお店までの生き方なども利用可能です。 - ・情報を得たら終了する
- 欲しい情報の確認が終わったら通話を終了します。
このときオペレーターに終了してもらうこともできます。
視覚障がい者の世界が広がるように
ここからは、開発者の藤井さんと藤田さんへのインタビューです。
聞き手: このアプリの開発に至ったきっかけを教えてください。
藤田さん:
弊社は、SOMPOのグループ会社で、主な事業にコールセンター業務があります。
企業理念として、「世の中のあらゆるお困りごとからお客さまをアシストする」があります。
新事業を考えていた中の一つに、視覚障がい者に声で遠隔で案内ができないかという企画案が出ました。
企画案を出した一人が、同行援護の資格を取って、視覚障がい者のことをいろいろと勉強しました。
買い物に同行したとき、いつも同じ物を買うことを疑問に思い、ひょっとしたら「情報を知ることで視覚障がい者の生活はもっと道が開けるのではないか」と感じたことから製品化に至ったというのがあります。
藤井さん:
私は、当事者としてこのサービスの開発に携わり、現在入社して「アイコサポート」の営業などを担当しています。
就労支援センターに通っていた当時、日常生活の困りごとについてインタビューを受けたんです。
私は中途の視覚障がいですが、それなりに生活ができているので、そんなに困ることはないと思っていました。
ただ、話をする中で、昔はできたけど、今はあきらめていたことに気づいたんです。
例えば、新しいカフェができたから行ってみよう、天気がいいからでかけてみようとか、自分が行きたいときに気軽に行けないことなどです。
自分がふたをしていたことと先ほどの道が開けるのではないかは、あとから聞きましたが「マッチするのでは」となったそうです。
そこから一緒に、実現化に向けて取り組んでいきました。
聞き手:
なるほど。まさに当事者の声が反映されて実現化したのですね。
開発から製品化されるまでその間、いろいろあったと思いますが、ご苦労したことなどはありますか?
藤井さん:
自分の役割として、ご利用していただく方に、きちんとわかる案内をしなければいけません。
そこで、オペレーターの方々に、どういうご案内をしたら視覚障がい者に伝わるかというのを説明することに苦労しました。
見え方も人それぞれ違うので、私には伝わっても、他の方には伝わらない言い方もあります。
また、オペレーターの方々もさまざまで、すぐにできる方とそうじゃない方もいました。
でもそれは、大変ではありましたが、みなさんと触れ合えて楽しかったんですよね。
聞き手:
確かに、受け止め方は人それぞれ違いますしね。
「アイコサポート」で工夫していることはありますか?
藤井さん:
オペレーターが、同行援護の資格を取っていることでしょうか。
この研修で、視覚障がい者の基礎知識を学んでもらい、接し方などを体験してもらっています。
そうすると、困っているから全部助けなきゃではなく、ちょっとサポートすればいいというマインドに変化します。
情報を知れば自分たちと変わらないということに気づいて、感覚的に視覚障がい者を理解することにつながっています。
これは、同行援護の研修の大きな力だと思います。
聞き手:
それは心強いですね。
では、使っている方々からの反響などはいかがですか?
藤井さん:
弱視の方から、出かけた先の看板や入口が見つけられなくて困ったけど、「アイコサポート」を使って解決できるので「行動範囲が広がった」「なくなったら困る」などの声をいただいています。
あともう一つは「お守りとして持っている」。持っているだけで安心するんですよね。
これは、実際に使ってみてその価値に気づく方が多いからだと思います。
そこで、弊社で体験会を開催したり、最大2か月間は無料で使えるようにしています。
聞き手: 最後に、これからの展望について教えてください。
藤井さん:
今、視覚障がい者の生活をサポートするアプリはたくさん出てきていると思いますが、その中で「アイコサポート」を1番に選んでもらえるようにしたいです。
何より、人とコミュニケーションをとりながら使えるのは魅力の一つですし、使うことによって自分の可能性が広がることを知ってほしいですね。
そのために、まずは「アイコサポート」を使える場所を増やしていきたいと思います。
企業や自治体に協力してもらい、どこへ行っても声の案内で情報が取得できる社会を目指したいです。
藤田さん:
今後は、いかに事業として持続可能なものにしていくかが課題です。
情報バリアフリーな社会を目指すため、多くの企業や自治体に協力いただけるかがキーになるので、日本全国にバリアフリーに情報を取得できるツールとして「アイコサポート」を受け入れてもらえるよう頑張っていきたいです。
あと、本当に能力の高い方が視覚情報がないことが障壁となり活躍しきれていない現状があると思います。
単に日常のお困りごとをサポートするにとどまらず、もっと視覚障がい者が活躍できるためのツールとして役に立っていきたいというのが目指す姿です。
聞き手:
これから、当事者としてますます期待する内容で楽しみです。
本日は、ありがとうございました。
会社情報
会社名:株式会社プライムアシスタンス
所在地:〒164-0012
東京都中野区本町1-32-2 ハーモニータワー21F
私も実際に使って感じたのは、オペレーターの方とコミュニケーションを取りながら情報を得られるのは安心することでした。
何気ないことかもしれませんが、人のやさしさに触れられるのはいいですね。
それから、買い物に出かけて店員さんにお願いすると商品を選んでもらえますが、忙しいとなかなか対応が難しい場合もあります。
そういう時に、「アイコサポート」は便利に使えると思いました。
藤井さんもおっしゃっていましたが、まずどう使えるのかを体験することが大事なのかもしれません。
気になった方は、お問合せしてみてはいかがでしょう。