2023年06月13日掲載
ウェブアクセシビリティの確保のため、様々なアクセシビリティ上の問題や、法律・ガイドラインを学んできた見習い君ですが、今回はウェブサイトへの方針と試験結果の公開について学んでいるようです。
- ウェブアクセシビリティ職人「見習い君」と「師匠」がアクセシビリティな世界を目指す
- このストーリーは、新人ウェブアクセシビリティ職人「見習い君」とベテラン職人「師匠」、解説を担当する「秘書」を通して特に障がい者をはじめ身体的な制約がある方たちがウェブ利用時にどのような障壁にぶつかり、どのような工夫をして克服しているかなど「ウェブアクセシビリティ」の実例をはじめ「ウェブアクセシビリティ」と共に重要な「社会的アクセシビリティ」についても紹介していきます。
ウェブアクセシビリティ方針
見習い君:師匠~~!!
師匠:どーした。そんなに急いで、なにかあったのか!?
見習い君:はぁはぁはぁ…さっきウェブサイトを閲覧していたら、ウェブアクセシビリティ方針というページがあったんですが、そのページについて教えてもらえませんか!!
師匠:まぁ、まずは落ち着くのじゃ。 ウェブアクセシビリティの方針(ポリシー)については、まだ教えていなかったな。
見習い君:はい。これは何なんですか?
師匠:まず、ウェブアクセシビリティのJIS規格である「JIS X 8341-3:2016」では、アクセシビリティへの取り組みについて、対象としているサイトがいつまでにどういったことをするのかを決め「ウェブアクセシビリティ方針」としてサイト上に公開することを推奨しておるのじゃ。先ほど見つけたのはこれじゃろう。
見習い君:なるほど。具体的にはどんな内容を書けばいいんでしょう?
師匠:どんな項目を書くかについてもJIS規格で示されておる。必須のものと任意のものがあるぞ。
見習い君:それでは、必須で記載しないといけない項目には何があるんですか?
師匠:「対象範囲」と「適合レベルおよび対応度」の2つじゃな。
見習い君:へぇー。1つ目の「対象範囲」はどんな内容を書けばいいんでしょうか?
師匠:取り組みを行うウェブサイトの名前とURLを具体的に書く必要がある。例えば、「株式会社○○○のウェブサイト(https://www.example.co.jp/)」といった感じじゃな。
見習い君:どのサイトを対象としているか記載するんですね。でも、同じサイトの中でもちょっとここは対応するのが難しいというページがある場合にはどうすればいいんでしょう?
師匠:その場合は対象に含まないウェブページのURLやカテゴリ名をリストアップするなどして、その部分が特定できるようにするのじゃ。
見習い君:なるほど!わかりました。もう1つの「適合レベルおよび対応度」はどんな内容なんですか?
師匠:適合レベルについては、JIS規格の「レベルA、レベルAA、レベルAAA」の3つの適合レベルのうち、どのレベルを目指すかを記載することになっておる。具体的な書き方としては、それぞれのレベルごとに次のようになっておる。
レベルAの基準をすべて満たす場合 | レベルAに準拠 |
レベルAの基準をすべて満たしたうえで、レベルAAの基準を一部満たす場合 | レベルAAに一部準拠 |
レベルAの基準、レベルAAの基準それぞれをすべて満たす場合 | レベルAAに準拠 |
レベルAAまでの基準をすべて満たしたうえで、レベルAAAの基準の一部を満たす場合 | レベルAAAに一部準拠 |
レベルAAAまでのすべての基準を満たす場合 | レベルAAAに準拠 |
この他に、それぞれのレベルに含まれている基準のうち、一部だけを満たす場合には「レベル○に配慮」といった書き方もできるようになっておる。
見習い君:なるほど・・・だんだんわかってきました。
師匠:ただ、ページの内容によってはレベル AAAの達成基準をすべて満たすことができない場合もあるため、レベルAAに準拠することを目指すことが一般的になっておる。そのうえでレベルAAAの達成基準についても可能な範囲で対応していくと良いじゃろう。
見習い君:そうなんですね。ところで、先ほどアクセシビリティ方針に記載する内容には必須の項目と任意の項目があるとのことでしたが、任意の項目にはどんな内容があるんですか?
師匠:良く覚えておったな。より分かりやすく具体的な方針にするために、いつまでに目標を達成するのか、ウェブサイトを担当する部署の名前・連絡先など、サイトの状況に合わせて盛り込むと良いとされておる。また、JIS規格に沿ってウェブページを試験した場合には、その結果なども掲載すると良いじゃろう。
JIS規格で任意項目として示されているものは次の通り
- ・目標を達成する期限
- ・満たすことのできない達成基準(目標とする対応度が一部準拠の場合)
- ・担当部署名
- ・連絡手段(電話番号、Eメールアドレス等)
- ・把握されている問題点及びその対応に関する考え方
- ・試験を実施した後であれば、試験結果を表示しているページへのリンク
見習い君:わかりました。ウェブアクセシビリティ方針はサイトの状況に合わせてわかりやすいよう作ることが重要なんですね。
師匠:その通りじゃ。
さて、先ほどJIS規格に沿ってウェブページを試験するという話をしたが、次回はこの試験について説明しよう。
秘書:疑問が晴れてすっきりしている見習い君ですが、師匠はまだ説明し足りない様子です。次回は「試験結果」に関する内容です。
今回の内容について、詳しくはウェブアクセシビリティ基盤委員会による「ウェブアクセシビリティ方針策定ガイドライン」のページをご覧ください。