2023年07月25日掲載
秘書:前回見習い君から質問を受けて説明したウェブアクセシビリティ方針に続いて、師匠が「ウェブアクセシビリティ試験結果」について教えてくれるようです。
- ウェブアクセシビリティ職人「見習い君」と「師匠」がアクセシビリティな世界を目指す
- このストーリーは、新人ウェブアクセシビリティ職人「見習い君」とベテラン職人「師匠」、解説を担当する「秘書」を通して特に障がい者をはじめ身体的な制約がある方たちがウェブ利用時にどの様な障壁にぶつかり、どの様な工夫をして克服しているかなど「ウェブアクセシビリティ」の実例をはじめ「ウェブアクセシビリティ」と共に重要な「社会的アクセシビリティ」についても紹介していきます。
ウェブアクセシビリティ試験結果
見習い君:「試験結果」…。前回教えてくれたウェブアクセシビリティ方針の掲載項目の「任意項目」に入っていましたよね。
ウェブアクセシビリティが確保されているか確かめて、どこが配慮されていなかったか書けばいいんじゃないんですか?
師匠:簡単に言えばそうなるが、試験の方法も、結果の記載方法も人それぞれでは客観的に評価することができないじゃろう。
そこで、試験方法や試験結果の表示方法について、JISには「附属書JB(参考)試験方法」として記載があり、補足する情報としてウェブアクセシビリティ基盤委員会がガイドラインを出しているんじゃ。
見習い君:そのガイドラインに、明記すべき事項とかが決まっているんですか?
師匠:そうじゃ。JISの附属書には「JB.3.1 表示事項」として以下を記載することが望ましいとしている。
- 表明日
- 規格の規格番号及び改正年
- 満たしている適合レベル
- 対象となるウェブページに関する簡潔な説明
- 依存したウェブコンテンツ技術のリスト
- 試験対象のウェブページを選択した方法
- 試験を行ったウェブページのURI(注)
- 達成基準チェックリスト
- 試験実施期間
(注)インターネット上に存在するあらゆるファイルを識別する総称
師匠:イメージがつきづらいと思うが、以下のページを見てみたらどうじゃ?
「JIS X 8341-3:2016に基づく試験結果(2022年11月1日)」(新しいウィンドウが開きます)見習い君:なるほど。イメージはわかりました。この場合は試験をした17ページでレベルAAに準拠したということですね。もし、ウェブサイト全体がアクセシビリティに配慮されていることを証明したい場合は、サイトのページを全て診断しないといけないんですか?
かなりページ数の多いサイトもあると思うんですが・・・。
師匠:良いところに気づいたな。すべてのページを試験するのが理想じゃが、ページ数によっては現実的ではないことも多い。そこでウェブアクセシビリティ基盤委員会のガイドラインでは、100ページ以上のウェブサイトの場合、40ページ以上が「合否判定に十分なページ数」としている。その際、対象のページは、トップページなどウェブサイトの中で重要となるページと、ランダムに選択したウェブページとを併せて選択することを推奨しているのじゃ。
見習い君:対象ページの決め方についてもガイドラインがあるんですね。
師匠:そうじゃ。附属書やガイドラインには、対象ページを選ぶ際の考え方、目安のページ数なども明記されておる。
見習い君:なるほど!ページ数の多いウェブサイトでも、考えてページを選定して試験をして問題がないことがわかれば、全てのページを試験しなくても良いということですね。
師匠:絶対に大丈夫とは言えないが、全てのページを試験できない場合はその通りじゃ。
見習い君:ところで「達成基準リスト」ってどうやって作れば良いんでしたっけ?
師匠:試験の方法についても説明しないと難しいな。次回は試験方法について説明しよう。
秘書:今回登場したガイドラインについては、以下をご参照ください。
・「日本産業標準調査会」※X 8341-3(新しいウィンドウが開きます)
・「JIS X 8341-3:2016 試験実施ガイドライン_2020年12月版(2020年12月25日公開)」(新しいウィンドウが開きます)