みなさんは、重度の知的障がいのある人が創り上げる製品や作品をみたことはあるでしょうか。
一般的には「就労継続支援事業所」で働く人たちの作る製品や絵画などの芸術品を目にする機会が多いかもしれません。今回は、NTTクラルティ株式会社(以下、NTTクラルティ)の塩山ファクトリーで知的障がい社員がどのように働いているのかをご紹介します。ぜひ、ご覧ください。
塩山ファクトリーについて
塩山ファクトリーでは、さまざまな工場などで規格外となった紙パックを原料として手漉き紙を製造しています。ミシン製品は、一品ずつ丁寧に作られており、柔らかくて肌触りが良いのが特徴です。
ゆうゆうゆう編集部員が原料作りと紙漉き作業を体験
編集部員が工場に行き、今回特別に作業のごく一部を体験させていただきました。
原料作り
紙の原料になるのは廃棄されたお酒や牛乳パック紙を再利用します。 パック紙にある外側のフィルムを剥がして「原料」にします。端の部分から徐々に大きくキレイに剝がすのが理想です。しかし、剥がすキッカケが上手くつかめません。
剥がせても、そのフィルムに紙が多く付いており、肝心の原料になる部分が少なくなってしまいます。何回かトライしたのですが、納得がいくような作業はできませんでした。
紙漉き
網と重ねた木枠を漉き枠と呼び、紙の原料が入っているシンクに沈めて並行に持ち上げます。漉き枠が水の抵抗にあうので、ずっしりと重く感じました。その後、漉き枠を置いて水を切り、木枠のみを慎重に真上に抜くのですが、コツが必要です。はたから見ていると、各工程の担当者同士の息が合うことでスムーズに作業が進んでいるのですが、実際に作業をすると、受け渡しのタイミングを合わせるのは、とても難しいことがわかります。
取材当日は快晴で程よい気温でしたが、一年間を通じての作業となると夏はとても暑く冬は手がかじかんでしまうような環境だということがわかりました。
紙を素手で扱う作業は手指の油分を取るので、カサカサになってとても痛くなるそうです。
塩山ファクトリーの製品
各製品の紹介
商品開発はみなさんのちょっとした発想からのコミュニケーションから生まれたりするそうです。他にも手作業で作った数々の商品があります。
塩山ファクトリーのECサイトはこちら(新しいウィンドウが開きます)塩山ファクトリーで働くメンバーからのメッセージ
髙橋チーフリーダーコメント
新型コロナウイルス感染症による、塩山ファクトリーへの出勤がままならなかった3年前。隔日出勤や職場の二拠点化などでメンバーが1ヶ所に集まる事は出来なくなりましたが、全員が「つながる」を意識し、仕事に励んでいます。
良い紙を漉いてカレンダーとノベルティを丁寧に作り、みなさまにお届けする事を励みに、これからも塩山ファクトリーは一丸となって頑張ってまいります。
雨宮社員コメント(男性・勤続12年5カ月)
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塩山ファクトリーの好きなところ
たくさんの仲間がいること -
今まで嬉しかったこと
仕事をおぼえてできるようになったこと -
今まで大変だったこと
新型コロナでお休みになってしまったこと
大森社員コメント(男性・勤続6年6カ月)
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今まで嬉しかったこと
塩山ファクトリーのメンバーと楽しく協力しながら作業が出来た事です。
いかがでしたか、NTTクラルティが取り組む障がい者雇用の中でも、最も元気な人たちが集まっている塩山ファクトリーをご紹介しました。武蔵野本社では、年度ごとの作品を展示しているコーナーがあり、その作品を見て塩山ファクトリーで働くみなさんのスキル向上が一目でわかります。
それは、紙の質やカットされたデザインが毎年少しずつよくなっているのが、素人目にもハッキリとわかるからです。移動すらもままならなかったコロナ禍が終わった現在、もっと互いにコミュニケーションを取りあって製品の開発と製作に取り組んで欲しいと思いました。