視覚障がいでも学べる筑波技術大学について教員に直接インタビュー!

2024年08月27日掲載

みなさんは大学といえばどんなことを思い浮かべるでしょうか?
大学生活は、勉強するだけではなく、サークル活動や新しい友人に出会ったり、さまざまなスキルを身に付けたり貴重な経験ができます。
しかし、視覚に障がいのある人は、講義を受けたり、サークル活動を楽しむことにさまざまなバリアがあります。そこで今回は視覚に障がいのある人向けの筑波技術大学の保健科学部をご紹介します。 写真:

筑波技術大学 保健科学部とは

筑波技術大学の保健科学部は、視覚障がい者のために設立された国立大学の学部です。
保健科学部は、情報システム学科と保健学科の2つの学科で構成されています。
そのうち、保健学科は鍼灸学専攻と理学療法学専攻の2つに分かれており、それぞれ専門的なことが学べます。

筑波技術大学 保健科学部についてはこちら(新しいウィンドウが開きます)

保健科学部の垣野内さん(情報システム学科講師)にお話を伺いました!

聞き手:はじめに、どんなことが学べる学部なのかを教えてください。

垣野内さん:写真:WEB取材でパソコンに話しかける編集部員を横から撮影している学部としては保健学科と情報システム学科があります。
保健学科は専攻が2つに分かれていて、鍼灸学専攻と理学療法学専攻があります。
鍼灸学専攻がいわゆる鍼灸を学ぶ専攻で、理学療法学専攻は主にリハビリテーションについて学び、理学療法士の受験資格が得られます。
また、情報システム学科は、コンピューターサイエンス、経営学などを学べる学科になります。
社会に出てからシステムエンジニアやプログラマとして働くのに必要な基礎を学ぶことができ、実際に活躍している人もいます。

聞き手:入学試験における配慮はどのようなものがありますか?

垣野内さん:本学では、入学試験を推薦入試・総合型入試・一般入試と3種類用意し、幅広く受験生を受け入れる機会としています。
それぞれの入試で、各受験生の障がいの状況に応じて、点字解答やPC解答など、さまざまな対応をしております。

聞き手:「全盲の人が受験する」場合は点字のスキルが必須になるのでしょうか。

垣野内さん:点字のスキルについては必須ではありません。
もちろん中途失明者など、受験時に点字のスキルがない受験生もいますので、PC受験など幅広く個人に合わせた解答方法に対応しています。

聞き手:続いて、講義での配慮にはどういったものがありますか?

垣野内さん:はい、入学する学生のうち8割くらいは弱視の人で、見え方にかなり個人差があります。
したがって、個人の状況に合わせて、画面を拡大したり、背景色と文字色を変えられたりするように配慮しています。
1年生対象の情報基礎という授業で自分がアクセスしやすいパソコン環境について学ぶことができます。
そのほかの2割は全盲の学生であって、基本的にはスクリーンリーダという画面読み上げソフトを使いますね。
講義中は骨伝導イヤホンをしていて、教員の話は耳から入るけど、骨伝導でスクリーンリーダが読み上げたことも聞けるようにしています。
また、使う資料についても、テキストデータや点字などが揃えてありますので、そのあたりは大学としての機能をかなり果たせていると思います!写真:パソコンを使う学生

聞き手:情報基礎の授業があるということは、点字やスクリーンリーダが扱えないまま入学しても問題ないということですか。

垣野内さん:ある程度問題ないところはあります。授業では、自分に合ったオンラインビデオ会議やコミュニケーションツールも学べます。ただし、そもそも「大学生」になるので情報システム学科に限らず最低限のパソコンスキルはあったほうが良いと思います。

聞き手:なるほど。続いて、キャンパスライフについて伺います。どのようなサークルがありますか?

垣野内さん:文化系では、あんまマッサージやラジオサークル、スマートスピーカーのアプリ開発のサークルなどがあります。
スポーツ系では、フロアバレーやロービジョンフットサルなどのサークルがあります。

写真:パソコンに向かう編集部員の後ろ姿 聞き手:サークル活動でもサポートが必要な場面が出てくると思いますが、ボランティアといった外部からのサポートがきたりするんですか?

垣野内さん:それはそこまで必要なくて、フロアバレーでいえば弱視の学生たちでポールなどの準備ができてしまいます。
サークル活動を通して外部に出ることが少ないこともあり、支援はいらないかなという感じです。

聞き手:サークル活動のほかに、寄宿舎はどういった環境ですか?

垣野内さん:はい、寄宿舎に入る学生は9割くらいいます。
建物の直前まで点字ブロックが設置されていて、中に入ってもかなりわかりやすい構造になっていると思います。
近くにすごく理解のあるコンビニがあり、そこでお弁当やおにぎりを購入する学生もいれば、近くにスーパーもあるので自炊する学生もいます。

聞き手:続いて、就活についてお聞きします。最近はほかの大学でも視覚障がい者に対応した大学がありますが、勉強以外の就活サポートはどうしても弱いことが多いと思います。
就職のサポートについては、どのようにしていますか?

垣野内さん:そのあたりは本学の強みだと思っています!情報システム学科でいうと、クラス担任に加えて教員一人が学生一人を担当するアドバイザー制度があり、私自身も学年ごとに1人ずつ担当しています。
そして、3年生の夏休みまでにある程度の方向性をアドバイザーの先生と学生とで見出していきます。
あとは人事担当者にキャンパスまで来てもらう、学科独自の逆企業説明会のようなものがあります。
学生たちは、自分が使っている端末のある教室にいて、そこに来た企業の人事担当者に説明をしてもらった後に、「こういうことができます!」と学んできたPCスキルを披露する機会があります。

聞き手:学業だけでなく、その後に向けたサポートもあるのはとても頼りがいがありますね。本日はどうもありがとうございました。

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