2020年に東京で開催されるパラリンピックへ向けて、障がい者スポーツへの関心が高まりつつある中、この4月には、日本サッカー協会(JFA)を中心に「障がい者サッカー協議会」が設置され、障がいがある人たちが、いつでも、どこでも、サッカーを楽しめる環境つくりへの第一歩が踏み出されました。
今後は、ますます障がい者スポーツ、障がい者サッカーへの注目が高まっていくことと思います。
ここでは、障がい者サッカーのひとつ、CPサッカー(注)に関する話題を紹介させていただきます。
(注)日本国内の通称。CPとは、英語のCerebral Palsy(脳性まひ)の頭文字。国内の正式名称は、脳性まひ者7人制サッカー。国際的には、Footbal 7-a-side と呼ばれています。
脳性まひとは?
「脳性まひ」と聞いて、すぐにどのような障がいかわからない人も多いではないでしょうか。
脳性まひとは「受胎から新生児(生後4週以内)までの間に生じた、脳の非進行性病変にもとづく永続的な、しかし変化しうる運動および姿勢の異常。その症状は満2歳までに発現する。進行性疾患や一過性運動障がい、また将来正常化するであろうと思われる運動発達遅滞は除外する」となっています。
子どもがお腹にいるときから生後4週までに、何らかの原因で脳が損傷を受け、その後遺症で、体や手足を自由に動かすことができなくなる運動障がいのことを指します。日常生活にあまり支障がない軽度な人から、全面的な介助が必要な重度な人までいます。
脳性まひの原因としては、脳形成異常や分娩時の仮死や多胎出産、脳血管障がい(脳梗塞、脳出血など)、脳室周囲白質軟化症(PVL)、脳外傷、脳炎・髄膜炎など様々ですが、原因がわからない場合も少なくありません。
CPサッカーとは?
CPサッカーは、簡単に言ってしまえば、脳性まひサッカーということになります。
CPサッカーの対象には、幼少期や成人してから、脳血管障がい(脳梗塞、脳出血など)や脳外傷、脳炎などによって、障がいを負った人たちも含まれています。
脳性まひには、主に、手足が硬直して突っ張ってしまう痙直型、自分の意志によらず体が勝手に動くアテトーゼ型、細かな調節が利かず、素早い動きや微妙な動きが出来ない失調型というタイプがあります。
また、麻痺の部位も人によって違い、主に、上肢より下肢に麻痺が強い両麻痺、身体の左右のどちらかに麻痺がある片麻痺、両手足に麻痺がある四肢麻痺の人がいます。
CPサッカーでは、この麻痺の部位によって、クラス分けが行われ、両麻痺=FT5・四肢麻痺=FT6・片麻痺=FT7となります。 FT5、FT6、FT7の中で、麻痺が極軽度な人はFT8にクラス分けされます。
脳性まひだからといって、スポーツに参加できないわけではありません。体を動かすことが大好きなスポーツマン、スポーツウーマンもたくさんいます。
次回は、脳性まひのスポーツについて紹介させていただきます。
プロフィール
神 一世子/じん いよこ
日本体育協会公認クラブマネジャー
日本障害者スポーツ協会公認中級指導員
2000年 日本脳性麻痺7人制サッカー協会設立準備委員会事務局長
2001年 日本脳性麻痺7人制サッカー協会事務局長
2007年 日本脳性麻痺7人制サッカー協会副会長
2012年 NPO法人 CPサッカー&ライフ エスペランサ代表理事
2015年 一般社団法人パラSCエスペランサ代表理事
CPサッカー日本代表チームマネジャーとして下記大会に帯同
2002年 第8回釜山フェスピック競技大会(韓国)
2005年 CPISRA ワールドカップサッカー大会(USA)
2007年 CPISRA 世界選手権大会(ブラジル)
2009年 ARAFRA GAMES(オーストラリア)
2009年 CPISRA国際選手権(オランダ)
2010年 広州アジアパラ競技大会(中国)
2011年 CPISRA 世界選手権(オランダ)