2016年05月17日掲載
車いすユーザの中には、ジーンズを穿きたくてもためらってしまう方も多いのではないでしょうか。
カジュアルな着こなしとして人気のジーンズですが、長時間同じ体勢をとっている車いすユーザには、ポケットの重なり部分や飾り金具など、じょくそう(注)
になりやすい原因がいくつも挙げられます。
しかし、今回ご紹介するジーンズは、じょくそうをほとんど気にする必要がありません。おしゃれをしたいと思っている車いすユーザの方は、ぜひ、チェックしてください!
(注)長時間体が圧迫され続けることで血流が不足し、皮膚や筋肉組織が壊死する状態。
車いすユーザにも穿きやすい「ピーチスマイルジーンズ」
車いすユーザが穿きやすいよう、デニム生地が柔らかく仕上げてある他、座った状態を基本として作られているのでお尻部分の股上が長くなっているのが特徴です。長時間座った姿勢でいることが多い健常者の方にも穿いていただけます。
また、ヴィンテージや月桂樹ボタンなど、おしゃれにこだわり仕上げられています。
座った状態を圧力分布測定器にて測定すると、お尻にかかる負担が少ない結果となっています。
お尻の縫い目を取り、切り返しは座った状態では見えない位置としています。
通常のジーンズを圧力測定した場合
ピーチスマイルジーンズを圧力測定した場合
【右写真の上下について】青色から赤色に変化するほど圧が高くなっている。
お尻の部分を一枚布にし、シワになりにくく柔らかい生地を使用しています。
また、ウエストは穿きやすいように、伸縮性に優れています。
お気に入りの洋服を諦めることはありません。縫い目とり、ファスナー開き、マジックテープ、紐付きなど、リメイクでまた洋服を楽しむことが出来ます。
ご担当者からのコメント
私自身、事故で車いす生活となり、病院ではジャージで過ごしました。退院後、持っていた洋服を着ようと思ったら着づらかったり、着心地が悪かったり、車いすをこぐのに洋服が邪魔に感じられました。特に、お尻部分のポケットや縫い合わせの生地の重なりが硬く、お尻が赤くなってしまう問題があり、着たい洋服が着られないのが悩みでした。
最初は無理して着ていましたが、「なぜ車いす生活になったら、おしゃれの制限をされなければいけないのだろう」と思うようになりました。
ある日、母が洋服リメイクのプロフェッショナルだったこともあり、車いすでも着られる洋服を作れないかと相談し、サンプルを作ってもらいました。
初めて出来上がりを見た時、着やすさだけの洋服だったため、全く魅力を感じませんでした。
しかし、試行錯誤していく中で着心地とかっこ良さを追求し、納得出来る洋服が出来上がりました。その時、「自分だけではなく、こういう洋服を必要としている車いすユーザがきっといるはず…」と気付き、車いすファッションブランドを立ち上げました。
開発経緯
座った姿勢の車いすでは、お尻部分の圧を逃がせず、じょくそう(床ずれ)の原因になってしまいます。
ピーチスマイルジーンズはお尻部分の圧を分散させる為に、ポケットとステッチを無くし、お尻部分の生地を1枚布にしました。
商品コンセプト
あくまでジーンズとしてこだわりたかったので、ジーンズ世界一の生産地である岡山県児島で、一般のジーンズ職人さんにお力を借りました。
ピーチスマイルジーンズは、その職人さん達の手で補正や色落ち加工をおこない、使い勝手は車いすユーザーにあわせ、見た目はかっこいいジーンズを実現させました。
株式会社アトリエ ロングハウス内 ピロレーシング事業部
〒151-0073 東京都渋谷区笹塚1-4-9
【お問い合わせ】
TEL:03-6276-1418
FAX:03-6276-1419
営業時間:平日10時~19時
定休日:日曜、月曜、祝日
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今回「ピーチスマイルジーンズ」をお借りし、ゆうゆうゆう編集部員が試着しました。
頚椎損傷である私は、ズボンで厚い縫い目があるものは、長時間肌に触れたままでいると「ミミズ腫れ」のような跡が残ってしまい、ひどい時には水泡となってしまう危険があります。
以前、ジーンズを着た時にこの症状になり、それ以来ジーンズは着ることがありませんでした。
しかし、この「ピーチスマイルジーンズ」は、縫い目が肌に当たらないよう縫製に配慮がされていて、長時間穿いていても安心でした。また、股上が長くお尻を包み込むような形状がとても良かったです。 生地に厚みのあるジーンズは、足の感覚が失われている人にとって外傷の予防に最適なはずなのですが、今までは縫い目の問題で遠慮していました。
これからは、ジーンズを穿いておしゃれを楽しみたいと思います。車いすユーザの目線で作られているので、ちょっとしたリメイクだけでも相談してみてはいかがでしょうか。