今年4月に発生した熊本・大分での大震災により、今でも数多くの方々が避難生活を強いられています。仮設住宅への入居が開始されたものの、本格的な復興はこれから。一日も早い復興を心から願っています。
今回の地震で改めて考えさせられたのが、5年前に発生した東日本大震災の復興支援。瓦礫の撤去は終わりつつあるものの、街の再生に関してはまだまだこれからだという声も聞こえてきます。
そんな中、被災地である岩手県大船渡市にある小さな文具店の地道な取組みに注目が集まっています。
地元で始められた復興支援「ぼんずプロジェクト」
岩手県大船渡市の「タケノ文具」では、「ぼんずプロジェクト」という復興支援を2012年9月から始めました。
タケノ文具店の竹野美貴子さんは、震災発生後1年半が経った頃に「自分達で何かできることはないのか」と考えました。ボランティアの方々も徐々に少なくなり、自分達でなんとかしなければいけない。 そんな気持ちが「ぼんずプロジェクト」を立ち上げる原動力になったそうです。 「ぼんずプロジェクト」の「ぼんず」とは、英語で「bonds(絆)」を意味しています。絆を大切にしながら、被災地の方々自らが取組む復興支援。そこには街の復興を願う真摯な想いが込められています。
できることから地道に取組む
大船渡市のシンボルとなる木が「松」だということに着目し、津波で被害を受けた被災松を使った商品の企画・製作、関連商品の販売などを行っています。
商品はしおりやハガキ、名刺用紙やメッセージカードなどの文房具類を中心に、ボールペンやシャープペンなどのオリジナル商品も販売しています。「売り上げの10%を大船渡市に寄付する」という取組みを継続しており、被災松商品の印刷や加工はタケノ文具店さん自らが手作業で行っています。また、他の商店とも連携した商品販売を行っており、地道な活動を継続しています。最近では、全国から購入の依頼が届き、大船渡市への寄付も行えるようになりました。
NTTクラルティも協力
今年の4月、弊社NTTクラルティは「ぼんずプロジェクト」の考えに協賛し、コラボ商品としてNTTグループに販売するノベルティセットの中に被災松しおりを入れることになりました。
デザインは、タケノ文具店が作製、大船渡市の花「椿」とNTTクラルティの工房がある山梨県甲州市の花「桜」をイメージした素敵なしおりです。印刷されたしおりは、甲州市の工房に送られ、一つひとつ丁寧に障がいのある社員が封入作業を行います。
「タケノ文具」の情報
【お問い合わせ】
住所:〒022-0002 岩手県大船渡市大船渡町字上山1-1
TEL:0192-26-5308 FAX:0192-26-3746
タケノ文具についてはこちら(新しいウィンドウが開きます)
大船渡市に向かう途中の陸前高田市で、いまだに残されている被災した建物や瓦礫を見かけました。被災地ではたくさんのトラックが行き交い工事が進められていますが、「街」としての機能を回復するのにはまだまだ時間がかかることを実感しました。
復興支援にはいろいろな形があると思いますが、東日本大震災の記憶を風化させることなく、できることから継続的に行うことが大切だということを今回の取材で感じました。
募金活動やボランティア活動に加えて、現地の方々が取り組んでいることを積極的に支援する。それもまた、新たな支援活動の一つとして考えるべきことなのかもしれません。
被災地で作られたしおりが障がい者雇用の場で製品として完成し、いろいろな場所に届けられる、とても素敵な取組みではないでしょうか。
これからもこの取組みが全国に広がり、復興支援、障がい者の雇用へとつながっていくことを願っています。