2018年10月02日掲載
この夏、連日テレビ中継され東京2020オリンピック・パラリンピックに向け、若手選手への期待が膨らむ成果をもたらした「第18回アジア競技大会2018」。
その日本選手の活躍に釘付けになっていた方も多いのではないでしょうか。
そして、同じ開催地ジャカルタで10月6日から13日まで「アジアパラ競技大会」が開催されます!
今回は、アジア地域の障がい者スポーツの祭典「インドネシア2018アジアパラ競技大会」についてご紹介します。
アジアパラ競技大会とは
アジアパラ競技大会は、4年に一度、国際パラリンピック委員会(IPC)の地域委員会であるアジアパラリンピック委員会(APC)が主催する総合スポーツ大会です。
もともと、欧米に比べ障がい者スポーツに対する理解・普及が遅れていたアジア太平洋地域において極東・南太平洋地域の身体障がい者のスポーツ大会として、日本の呼び掛けで1975年に第1回大会が開催された「フェスピック大会」がきっかけとなっています。
(フェスピックとは、極東・南太平洋身体障害者スポーツ大会の英語表記「Far East and South Pacific Games Federation for the Disabled」の頭文字から付けられた名称です)
パラスポーツ競技の先駆的な大会として発展し、2010年の中国広州大会からはオリンピック・パラリンピックのようにアジア競技大会と同会場で開催されるようになり、アジアパラリンピック委員会が主催する「アジアパラ競技大会」として現在の形へ引き継がれています。
2014年に韓国の仁川(インチョン)で開催された前大会では陸上競技や水泳、卓球で知的障がい者の種目も採用され、日本は、金メダル38・銀メダル53・銅メダル48の大活躍の好成績を収めています。
インドネシア2018アジアパラ競技大会
日程: | 10月6日から13日 |
場所: | インドネシア・ジャカルタ |
参加国: | 43か国 |
競技: | 18競技 |
競技種目 | ||
---|---|---|
アーチェリー | ゴールボール | テンピンボウリング |
陸上競技 | 柔道 | 卓球 |
バドミントン | ローンボウルズ | シッティングバレー |
ボッチャ | パワーリフティング | 車いすバスケ |
自転車 | 射撃 | 車いすフェンシング |
チェス★ | 水泳 | 車いすテニス |
★日本選手は出場なし
インドネシア・ジャカルタ大会を楽しむミニ情報
今大会には、男子181人、女子123人の過去最多となる304人が出場します。
主将は、現在海外を拠点として活動する競泳の鈴木孝幸選手(四肢障がい/ゴールドウイン)、旗手は6月30日、7月1日に開催された「関東パラ陸上選手権大会」で100メートルと走り幅跳びでアジア記録をマークした陸上の前川楓選手(大腿切断/チームKAITEKI)が務めます。
車いすテニスでは、今大会のシングルスで優勝すると、東京パラリンピックの出場資格が与えられることから、国枝慎吾選手、上地結衣選手の活躍が注目されています。
他競技においても、2年後の東京2020オリンピック・パラリンピックを見据えた大会の位置づけとして各選手たちは試合に臨み、2014年に開催された仁川大会の143個を上回るメダルの獲得が期待されています!
障がい者スポーツを知る
障がい者スポーツは、障がいに合わせて用具や一部ルールの変更があるなど工夫されているところが特徴です。
以下、いくつか競技内容をご紹介します。
◯ローンボウルズ
【競技概要】
イギリス発祥のゲームで、合成樹脂でできた偏心球を転がしてジャック(目標球)に近づける競技です。
競技の名前に「Lawn」(芝)がつけられていることからお分かりかと思いますが、芝生の上でおこないます。屋内で行われる「ボッチャ」に似ています。
合成樹脂でできた偏心球を「ボウル」と言い、スピードが遅くなるにつれ、大きなカーブを描きながら転がるためボウルが描くカーブと芝の状態を予測しながら、できるだけジャックに近づけて停止させることに、難しさと面白さがあります。
競技は、31メートル以上40メートル以下の正方形の専用コート(グリーン)で行われます。
アウトドア競技の場合は幅が4.3以上5.8メートル以下、インドア競技の場合は幅が4.6以上5.8メートル以下の区画に分け、6または7等分して使用し、ひとつのリンク上で、ひとつの試合が行われます。
また、ボウルの重さは、1.59キロを超えてはいけないことになって、シングルス、ペアーズ、トリプルズ、フォアーズの4種目で行われています。
ローンボウルズは、車いす利用者など障がいの有無に関わらず行える競技ですが、今大会には兵庫車椅子ローンボウルズクラブに所属する選手が出場しています。
◯テンピンボウリング
【競技概要】
主に視覚障がい者が行う競技で、一般のボウリングとルールはほぼ同じです。
大きな特徴として、アプローチ上に高さ90センチ、長さ3.7メートルの手すり(ガイドレール)を設置し、見えるアシスタントがボウルの軌跡、当たった場所、残ったピン数などを声で伝えます。
視覚障がい者に、ボウルの位置や方向がわかるよう工夫されています。
シングルス、ダブルス、チーム戦があり、男女別、男女混合、障がいの程度に合わせたクラス分け(注)によって行われます。
より公平にするため、B1クラスの選手は、アイマスクを着用します。
B1: | 視力0から光覚までの者でいかなる距離、方向からも手の形が見分けられない者 |
B2: | 手の形の認知可能から視力が0.03までか、視野が5度まであるいはその両方 |
B3: | 視力が0.1までか、視野が20度まで、あるいはその両方 |
「第18回アジア競技大会2018」をテレビなどで見て知っている方は多いかと思いますが、実はそのあとに、オリンピック・パラリンピック同様に、障がい者の総合スポーツ大会が行われています。
それでも、少しずつではありますが、障がい者スポーツの情報が、ニュース番組のスポーツコーナーで取り上げられるようになってきました。
中には、2020年東京パラリンピック大会では実施されない競技もありますが、2024年のフランスパラリンピック大会に向けて、正式種目として採用されるよう知名度の向上に動いている競技もあります。
こうした大会があるということを「ゆうゆうゆう」では、発信していきたいと思います。
これからも障がい者スポーツを応援していきます!