2024年08月06日掲載
肢体不自由者に関するクエスチョン
Q:車いす利用者は物を落としてしまったらどうやって拾うの?
A:手指や体幹に障がいがある場合は、かがんだり、つかむことが難しいため、車いすに座ったまま拾うさまざまな工夫をしています。落としてしまった物や場所にもよりますが、棒の先にかぎ爪がついたリーチャーという自助具を使ってひっかけたり、マジックハンドを使う人が多いです。
また、カゴや、柄の長いチリ取りを使ってすくい上げたり、粘着テープを伸ばしてくっつけて拾ったりもします。車いすの車輪に押し当てて、回転しながら拾い上げる器用な人もいます。
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Q:介助犬はどんなサポートをしてくれるの?
A:手や足に障がいのある肢体不自由者の日常生活動作をサポートしてくれます。落としたもの、手の届かないものを持ってきたり、ドアや冷蔵庫の開閉、スイッチ操作など、ユーザの障がいに合わせたさまざまなサポートを行います。なかには、履いている靴や靴下を脱がすといった補助を行う介助犬もいます。外から見てわかるように「介助犬」と書いた表示を付けています。
介助犬は、盲導犬や聴導犬と同様に、身体障害者補助犬法に基づいて認定されており、交通機関や多くの施設で、その受け入れが義務付けられています。あたたかい見守りをお願いします。
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Q:車いす利用者は、歯医者などの治療台には乗り移れるの?
A:診療用のイスに自力、もしくは介助者が移乗を手伝ってくれる状況だと診療可能です。
乗り移りができない場合は、車いすに座ったまま頭を上に向ける方法やリフト式に床が傾くことで診療しやすい角度まで倒れる方法があります。
なお、車いすユーザが歯医者を探すときは事前の電話確認の他、ホームページで診療用のイスや建物外観入り口の写真を参考にしています。
Q:車いす利用者は、クルマ以外に運転できる乗り物はあるの?
A:バイクも運転できます。バイクにまたがり車いすを横へ収納して乗るタイプや、車いすごと乗り込むタイプなど、障がいの程度によって乗るバイクが変わります。
また、車いすユーザの中には、小型船舶やグライダーの免許を取得した人もいます。
「乗りたい」という強い熱意、それをかなえるための知識や技術を身に付ければ、どんな乗り物でも運転できる日が来るのではないでしょうか。
将来、車いすユーザが操縦するロケットで宇宙へ行く日が来るかも知れませんね。
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Q:飲酒後に電動車いすを操作するのは交通違反?
A:
電動車いすユーザは、道路交通法により「歩行者」とされているため交通違反ではありません。
しかし、飲酒時はちどり足になる人がいるのと同じで、段差での転倒や人にぶつかりケガをさせてしまうリスクが高くなります。
お酒の量はほどほどが良いかもしれませんね!
Q:電車に車いすで乗り込むときはどうしているの?
A:
改札窓口で降りたい駅を伝え、「スロープをお願いします」と駅員に依頼する人が多いです。
なぜなら、電車とホームの間にある段差や隙間を自力で乗り降りできる車いすユーザが少ないからです。
降りるときは、乗った際に下車駅を伝えているので、その駅まで連絡がされていてスロープを設置してもらえます。
また、落下防止のため、ホームでは路線に対して平行の向きに待つことが推奨されています。
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Q:手や足に障がいがある人は、セルフレジって便利なの?
A:
手にまひがある人や車いすユーザは不便に思う人が多いかもしれません。
例えば、バーコードの読み取り、キャッシュ決済、袋詰めなど、店員さんがしていたことを自分でしなければならないからです。
最近のスーパーや大手デパートでは、買い物を手伝ってくれる「呼び出しボタン」を設置している店舗が増えています。
欲を言うと、障がい者マークがあって会計に多少時間がかかってもよいレジがあるとうれしいですね。
Q:手にまひがある人は、どうやって食事するの?
A:
食事を自力で行える人は、カフス(注)と呼ばれる装具で手にフォークを固定させて食べます。
中には、硬直した指の間にフォークをうまく挟む工夫をして、食事を楽しむ人もいます。
(注)掴むことや握る動作が困難な人向けの、スプーンやフォーク、ペンを手に固定する装具。
Q:両手に麻痺がある人は、どうやって歯磨きをしているの?
A:
両手で電動歯ブラシを持つ人や介助をしてもらう人、
カフス(注)という装具で手に歯ブラシを固定して磨く人がいます。
この時に一番面倒なのは、歯磨き粉を歯ブラシに着ける動作です。
器用な人は、歯ブラシを洗面台に置き、両手で挟んで上から歯磨き粉を絞り出します。
中にはチューブから絞った歯磨き粉を直接パクっと口に入れて歯磨きをする人もいます。
(注)掴むことや握る動作が困難な人向けの、スプーンやフォーク、ペンを手に固定する装具。電動歯ブラシは柄が太いため、カフスが使用できないケースが多い。
Q:車いすに乗っている人は、どうやってダイエットするの?
A:
車いすユーザにとって体重管理は非常に重要です。
体重が増えると、車いすの乗降りに負担がかかるからです。
基本的には、食事制限である程度ダイエットします。
ほかにも、有酸素運動でダイエットする方法がありますが、障がいの程度によって運動方法が変わってきます。
例えばスポーツをしたり、車いすで長い距離や坂道を移動したり、自分の障がいレベルに合わせて工夫をしている人が多いです。
一番良いのはダイエットをしなくてもいいように、普段から食事管理や身体を動かすよう意識をすることが大事かもしれませんね。
Q:車いすに乗った人が転倒してしまった場合は、どうすれば良いの?
A:
車いすユーザの中には、体の一部に麻痺などがあり、痛みを感じない人がいます。
まずは「怪我はしていないですか?」などの声がけをすると良いでしょう。
また、障がいの程度によっては、自分で車いすへ戻れない人がいます。
その場合は、車いすに戻す補助が必要か確認しましょう。
Q:車いすに乗っている人は、どうやって体重を量るの?
A:
車いすに乗ったまま計量した後、車いすの重さを引いて体重を割り出します。
リハビリ病院や福祉施設などによっては、車いすユーザ専用の体重計があります。
最近では、小型で簡単に乗れる体重計も増え、家庭でも量れるようになってきました。
インターネットショッピングなどで家庭用に購入する人も増えています。
Q:車いすに乗っている人でもお店で服の試着はできるの?
A:
トップスなら、服を体に当ててみたり羽織ったりすることで選ぶことができます。
しかし、ボトムスは一人での脱ぎ履きが難しかったり、寝そべった状態でしか着替えられなかったりするため、試着できないことがあります。
そのため、自分のウエストや股下の長さを覚えておいて買い物をする人が多いです。
現状、車いすに乗ったままで入れる試着室のあるお店は、まだまだ少ないです。
Q:電動車いすで走行中にバッテリーが切れたらどうするの?
A:
バッテリーが切れてしまったら、予備のバッテリーに切り替えるか、介助者に押してもらいます。
坂道などの上り下りが多いとバッテリーが早く消耗してしまう場合がありますが、30キロメートル前後走行が可能な車種が多いです。
電動車いすは、電源を入れるとバッテリー残量がわかるようになっていて、残量が不足していると警告で残量計が点滅したり通知音が鳴ったりします。バッテリー不足とならないよう、外出前にはフル充電しておくようにしています。
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Q:車いすに乗っている人でも立ち上がれる人っているの?
A:
車いすに乗っている人の中にも、障がいの程度によっては「立てる・歩ける」人がいます。
短い距離であれば近くの物に掴まって歩いたり、家の中では松葉づえを使って歩いたりと、立ち方・歩き方はさまざまです。
このような車いすに乗っている人を街中で見かけても驚かないでくださいね。
Q:人工膝関節を利用している人が気をつけていることはありますか?
A:
膝が曲がる可動域が狭くなるため手術後は布団からベットへ変更するなど、浅い角度で立ち上がれるように気をつけています。
なお、和式トイレが利用できない、正座ができないといったことがありますが、運動制限や食事制限、薬を飲み続けなければならないといったことはありませんし、身体を動かして軽いスポーツもできます。
人工関節というと膝関節や股関節を思い浮かべる方が大半だと思いますが、肘や肩、手の指の関節もあるんですよ。
Q:片手がまひしている人等は、利き手が届かないところをどう洗っているのですか?
A:
体を洗うスポンジなどが届かない部分は、壁にスポンジなどが張り付くように加工するなどして固定し体を押し当てて洗っています。
なお、濡れたタオルを絞る時は、水栓にタオルをひっかけてねじって水分を取るなど工夫しています。
Q:足などが不自由な人は松葉杖以外に、どのような補助具を利用するのですか?
A:
歩行器や歩行車(ホコウシャ)などを利用します。
四脚のフレーム構造でできている歩行補助具で、車輪がついてる種類もあります。
股関節の病気や足の筋力が少ない人でも、軽く押しながら歩行することでバランスを保ちながら安全に歩行することができます。
Q:普段使用している車いすのまま飛行機に乗ることってできるの?
A:
車いすユーザは、専用の受付カウンター(お体の不自由な人・お手伝いを必要とする人など)で搭乗手続きをしてから、搭乗用の車いすに乗り換えて飛行機に乗り込みます。
航空会社によって異なりますが、搭乗用の車いすは金属探知機をスムーズに通過できるように木製やプラスチック製などとなっています。また、機内の狭い通路を走行しやすくするために車輪や肘掛けが外れるようになっています。
Q:車いすに乗った人は体温調整が難しいと聞きましたが、どうしてですか?
A:
車いすユーザの中でも脊髄損傷や頸髄損傷の人は、汗をかくための自律神経機能がうまく働かないため、体温調節が難しいです。
特に気温の高い場所にいると体内に熱がこもります(うつ熱といいます)。
症状がひどくなると「ふらつき」「めまい」「ふるえ」など、熱中症と同じ症状があらわれて危険な状態になってしまいます。
そのため、うつ熱と感じたら、首や脇の下など動脈に近いところを冷やして体温を調整する人もいます。
Q:車いすに乗った人とデートをする時に、手をつないで並んで歩くことはできますか?
A:
デートの時は車いすのことを気にせず、手をつないで並んで歩きたいですよね。
でも、手動車いすの場合、手をつなぐと片側しかこげなくなってしまい、まっすぐ進むのが難しくなります。
そのような時は、つないだ手を車いすユーザ側から少しだけ引っ張ってもらったり、逆に自分のほうへ引き寄せるようにすると進みやすくなります。
慣れれば、自然な感じで手をつないで並んで歩くことができます!
Q:手が不自由な人はネクタイや靴紐を結ぶことはできるの?
A:
手で握る・掴むことができない人でも器用に紐を結んでいる方もいますが、多くの人は結ばなくてもよい商品を利用しています。
ネクタイでは、結び目ができていてマジックテープがついているものを首に巻いて取り付ける商品などがあります。
また靴では、靴紐を交換する人もいますが、靴紐を結ぶ手間が省ける、靴紐のサイドにジッパーがついているものを履いている人もいます。
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Q:車いすに乗った人はどうやって自動車を運転するの?
A:
運転には、手だけで操作ができる手動運転補助装置を使用します。操作方法は、手動運転補助装置のコントロールグリップを前方へ押すとブレーキ、後方へ引くとアクセルが作動するようになっています。
その他、手で運転操作することができない人でも足で運転できる足動運転補助装置も使用されています。左足元にステアリング操作用のペダルがあり、踏み込み操作によって進む方向が変わるようになっています。
車いすから運転席に乗り移ったら助手席の後ろの席に車いすを収納する人が多いです。
Q:車いすのタイヤはパンクするの?パンクしたらどうするの?
A:
車いすのタイヤの多くはパンクします。自転車などと一緒で、タイヤの内側にある「チューブ」が磨耗や劣化などが原因で穴があき、そこから空気が漏れてタイヤがぺちゃんこになってしまいます。パンクしてしまうと軽い力で操作できません。そのため、車いす業者や近所の自転車屋さんで修理してもらうことが多いです。
パンクが心配な人は、一般的な車いすタイヤより重いですが「チューブ」がないタイヤ(ノーパンクタイヤ)を利用したり、スペヤタイヤを準備している人もいます。
Q:義足を装着するのは難しいの?
A:
義足は、どの部分で切断したのかによって種類も装着もさまざまです。
一例として、太もも部分に装着する義足で、シリコーンライナーを利用する方法は簡単に装着することができます。
シリコーンライナーとは、やわらかく肌に吸着するシリコーン素材でできていて切断部分に被せて使用するものです。足を収納する義足のソケット部分は硬い素材のため、保護する役割も持っています。
また、シリコーンライナーの先端には接続ピンが付いていて義足のソケット部分とかみ合うことで接続します。義足側の解除ボタンを押すことで簡単ににはずすことができます。
Q:公共施設やお店が多数入っている商業施設には出入口付近に「障害者等用駐車場」が設置されていますが、なぜ必要なのでしょうか?
A:
車いすユーザが乗り降りする場合、車のドアを開けて車いすを横付けするので幅広い駐車スペースが必要です。
「障害者等用駐車場」は車いすが回転して方向転換ができる最小幅の1.4mに、一般者駐車場の横幅2.1m(一般的な規格)が加算され、3.5mの幅が採用されています。
Q:電動車いすは車道と歩道どちらを走行するのですか?
A:
電動車いすは、道路交通法によって「歩行者」として扱われます。そのため、歩道がある道路では歩道を、歩道が無い道路では道路の右側を通行する必要があります。
もちろん、他の歩行者の安全に注意した操作を心がけなければなりません。また、「自転車歩行者専用」の道は通行できますが、「自転車道」や「自転車横断帯」は歩行者と同じで通行することはできません。
Q:車いすに乗った人は、普段部屋で過ごす時も車いすを利用しているの?
A:
車いすに座ったまま一日を過ごす人が多いですが、車いすに座ったままだと
「床ずれ」や「腰痛」が気になる人もいるので、ベットやソファに移って過ごす人もいます。
自宅で映画を楽しむときはソファに座って鑑賞する、などこだわりのある人もいます。
Q:車いすに乗った人は、温泉旅館とかに宿泊で旅行したりするの?
A:
人によっては車いすで入浴できる施設を探したり、部屋付きの個人風呂を探したりして旅行を楽しんでいます。
最近は、バリアフリーデザインになっていて車いすでも利用できる旅館なども増えています。
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Q:車いすに乗った人は、気をつけている食べ物や食事制限があるの?
A:
ほとんどの人はありません。ただし、健常者と違って平常時の消費カロリーが少ないので、太りやすい傾向があります。
消費カロリーが少ないのは、動かせる筋肉量が少ないのと、体温調整が上手に出来ないからなどの理由があります。
Q:車いすに乗った人が段差を乗り越えられず困っていました。その場合、どのようにしたらよいですか?
A:
まずは、サポートが必要か声をかけてください。
そのうえで、段差が15cmを超えるような場合は他の迂回路を探すように促しましょう。
なお、段差が15cm程度の場合、サポート方法として以下のようなものがあります。
○段差を上る場合は…
- 「キャスターを上げます」などと声をかけます。
- 車いすの前輪を段の上に載せます。
- 前輪をゆっくり押し上げます。
参考:下イラスト左から1→2→3イラスト内赤矢印は力の入れ方や動作を表します。
○段差を下りる場合は…
- 段差に対して後ろ向きになります。
- 「ゆっくりと下ります」など声をかけながら後輪を下ろします
- 後輪を上げながら足載せの部分が段差に当たらないところまで後進して最後に前輪を下ろします。
参考:上イラスト右から1→2→3イラスト内青矢印は力の入れ方や動作を表します。
Q:まひなどで片手が不自由な人や指が動きづらい人は、ペットボトルのキャップをどのように開けているのですか?
A:
人によってさまざまですが自助具を利用する人が多いです。
自助具とは、身体が不自由な人が日常生活の動作をより便利に、より簡単にできるよう工夫された道具のことです。
ペットボトルの場合、キャップ部分に自助具をあて、廻すことで開けることができます。この自助具は「万能オープナー」などと言われていて最近では、自動販売機に設置されている場合もあります。
そのほか、障がいの程度にもよりますが両ひざでペットボトルを挟んで片手でキャップを開ける人や歯でペットボトルをかんで開ける人もいます。
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