残された身体能力を最大限に活かす!パラ水泳

数あるパラ競技の中で唯一、用具を一切使わずに競うのがパラ水泳です。
パラ水泳では、水の抵抗をいかに少なく泳ぐか、残された身体の運動機能を最大限に活かしていかに速く泳ぐかが求められます。障がいの種類は、肢体不自由(切断・脊髄損傷、脳性まひなど)、知的障がい、視覚障がいなどに分かれ、肢体不自由は10のクラス、視覚障がいは3つのクラス、知的障がいは一つのクラスに分類され、競技が行われます。
今回は、様々な障がいに沿った泳ぎ方で競われる肢体不自由者のパラ水泳をご紹介します。ぜひご覧ください。 写真:スタートで両手を伸ばし体を浮かせ、足をコーチに持ってもらっている状態

パラ水泳とは?

1960年にローマで開催された第1回パラリンピックから正式競技として行われている水泳競技。当初は車いすで生活をしている選手だけで競技が行われていましたが、現在はさまざまな障がいの選手たちが参加できるようになり、「自由形」「背泳ぎ」「バタフライ」「平泳ぎ」「個人メドレー」「リレー(メドレー・フリー)」の競技が行われています。
基本的なルールはオリンピックの競泳と変わらず、使用するプールや泳法も同じです。 しかし、障がい故に出来ないことがあるので、ルールは一部変更されて実施されています。また、オリンピック種目は50mから1500mまであるのに対し、パラリンピック種目は50mから400m。長距離種目がないのが特徴です。
肢体不自由の選手は、切断やまひをしている部分を他の残された機能で補わなければならず、体力を激しく消耗する競技でもあります。

パラ水泳の見どころ!

肢体不自由のパラ水泳は、障がいレベルにより泳ぎ方が変わるのはもちろん、障がいによっても一人ひとり異なります。
例えば、下半身まひのため足でキックができない選手は、上半身の筋力や動きで、まひしている部分も含め全身のバランスを取って泳ぎます。
また、腕や足に欠損や変形がある選手は、できるだけ水を上手くつかんで力強い泳ぎが求められ、スタートやターンの仕方でもタイムに大きく影響します。肢体不自由の選手は、残された身体の機能を使って、上下左右のバランスを保ちながら泳ぐ技術を習得するまでにはかなりの時間がかかります。
まずは、自分に一番合った泳ぎ方を試行錯誤し、次に速く泳ぐ技術に磨きをかけていく必要があります。
選手たちは、持てる身体能力を最大限に使って水中を突き進んでいきます。スタートの仕方、泳ぎ方、ターンの仕方、ゴールの仕方など一人として同じ人はいないため、見ていて常に驚きと発見があります。

ルールとクラス分け

障がいの種類も程度もそれぞれ異なるため「同程度の障がい・残存能力」ごとに分けることをクラス分けといいます。中でも肢体不自由の選手は、運動機能のテストとしてフィジカルアセスメント、テクニカルアセスメント(ウォーターテスト)と競技観察などを行ってクラス分けされます。選手たちは、クラス認定されて初めて大会へ出場することができます。
競争する選手が同一スタートラインから決められた距離を泳ぎ、その速さを競い合います。競技会のルールは、基本的にオリンピックなどのルールを基にし、障がい故に出来ないことを加味した世界パラ水泳連盟(WPS)競技規則が適用されます。

スタートの仕方

背泳ぎ以外は、一般的に飛び込みでスタートしますが、下肢に障がいがあり飛込みが困難な選手は、水中からのスタートが認められています。
背泳ぎのスタート時は、スターティンググリップを握ってスタートしますが、障がいによりスターティンググリップを握ることができない選手はベルトや取り付け式用具を使用することができます。
また、障がいにより両腕が欠損している選手は、口でひもやタオルをくわえてスタートもできます。
障がいによりスタート時に、水中で体勢を保つことができない選手はコーチなどにプールのヘリから身体を固定してもらったり、スタート台上での静止を補助してもらったりされることが認められています。

ターンの仕方

障がいにより両腕が欠損している選手は、頭や上半身の一部でのタッチが認められています。
片腕が欠損している選手は、平泳ぎとバタフライにおける片手タッチが認められています。
平泳ぎで正規のキック動作をする意思を見せたうえで、一般的に禁止されている「あおり足(注1)」になってしまうことが一部認められています。
(注1)足の裏で水を捉えられないキックのこと。

入退水での補助

手足に障がいのある比較的障がいの程度が重い選手は、車いすへの乗り降りやプールに入退水する際サポートを受けることができます。

クラス分けについての一覧表
障がいの種類 泳法 クラス種目
表記
クラス番号
肢体不自由
切断・脊髄損傷
脳性まひなど
自由形 S 1から10まであり、
数字が小さければ障がいは重度
※SBでは1から9まで
背泳ぎ
バタフライ
平泳ぎ SB
個人メドレー SM

2020東京パラリンピックで行われる開催場所

東京アクアティクスセンター

辰巳の森海浜公園に新しく整備される施設で、大会時には15,000席の閲覧席を備えます。観客席は大会後に5,000人規模に縮小することをあらかじめ想定した上で計画されていて、世界的な大会が開催される国際水泳場としてだけではなく、都民も利用できる水泳場として期待されています。

一般社団法人 日本身体障がい者水泳連盟

1984年に発足した団体です。パラ水泳の普及とともにパラリンピックを目指す選手の育成・強化を行っています。数多くあるパラリンピック種目の中でも伝統のある競技で、日本がパラリンピックにおいてメダルを取り続けている人気のある競技種目です。
選手を育成するための指導者制度や、パラ水泳の公認競技役員養成、クラス分け役員養成などの制度もあり、多くのボランティアが連盟活動を支えています。連盟キャラクター「パラッシー」も様々なグッズやLINEスタンプなどもあり、人気急上昇中です。

「一般社団法人 日本身体障がい者水泳連盟」についてはこちら(新しいウィンドウが開きます)

特別協賛企業の製品・サービスのご紹介

  • NTT ExCパートナーの公式サイトへ
  • 特別協賛企業の製品・サービスのご紹介_日本電信電話
  • NTTファイナンス株式会社の公式サイトへ
  • 株式会社NTTロジスコの公式サイトへ
  • NTTアドバンステクノロジ株式会社の公式サイトへ
  • 株式会社NTTアドの公式サイトへ

お知らせ

編集部のおすすめ記事

  • ゆうゆうゆう便り(メルマガ読者募集中)
  • ゆうゆうゆうのfacebook
  • 広告バナー募集中
ページの先頭へ