2019年11月19日掲載
「国指定重要文化財」と聞くと施設等にバリアが多いイメージがあり、車いすユーザにとっては観覧したくても躊躇してしまう方が多いのではないでしょうか。
そのような施設の中から今回は、ゆうゆうゆう編集部員が北海道札幌市にある豊平館(ほうへいかん)のバリアフリーチェックをしてきました。
豊平館は、札幌市中央区の中島公園内にある国指定重要文化財の西洋館で、カフェも併設されていて車いすユーザもほっと一息できる素敵な場所です!
ぜひご覧ください。
豊平館とは
1880年(明治13年)札幌市中央区北1条西1丁目(現在のさっぽろテレビ塔周辺)に北海道開拓使が洋風ホテルとして建築し翌年、明治天皇が最初の利用者となって以後、要人の宿泊等に利用された建物です。明治政府機関が建てた唯一のホテルで明治初期の貴重な遺構(注)として1962年(昭和39)に国の重要文化財に指定されています。
1958年に中島公園内に移築された後、1922年宮内省から札幌市へ譲渡されてから2012年まで、式典や大会会場、市営の結婚式場として札幌市民に親しまれたあと、2012年から2016年にかけてバリアフリー対応や老朽化対応、耐震補強といった保存修正工事を終えて同年の6月に交流施設としてリニューアルオープンしました。
1階にあるユリ・フヨウの各部屋、2階の広間・ススキとオミナエシ・ツバキは貸室として会議や会食、イベント控室、コンサート、結婚式などで午後5時から午後10時まで利用することができます。
館内ではボランティアガイドに案内してもらえるほか、札幌の歴史についての映像放映や実物資料を観覧することができます。
また、照明をつり下げている部分の天井飾りの模様に特徴があり、部屋ごとに違うので注目の一つとなっています。
(注)残存する古い建築物のこと
○建物の特徴
明治初期当時のアメリカ風様式を基調とした木造2階地下1階建てで、屋根には8つの煙突が取り付けられており、左右対称の立面が特徴です。
また、白い外壁を鮮やかに縁どる青色は「ウルトラマリン・ブルー」と言われ、昔は宝石として尊ばれた天然石のラピスラズリから造られた顔料を使われたことが分かり、創建当初の青く澄んだ色合いを復元しています。
豊平館のバリアフリー情報
『館内』
豊平館の裏にある受付を通り、館内を見学します。受付までは階段のほかに、スロープが設置されているので、車いすの方でも安心して観覧することが可能です。
しかし、それぞれの部屋の入り口には2cmほどの段差があるので自力で乗り越えられない方は介助が必要となります。
また、館内にはエレベータも設置してあるため、スムーズに行き来が可能となっています。
『トイレ』
2階にはオストメイトにも対応しているほか、室内は介助者が同伴しても車いすに座ったまま回転できるスペースが確保されている多目的トイレが用意されています。
『駐車場』
車いすユーザのために身体障がい者用の駐車場が2台設けられています。
この駐車場から館内までは緩やかなスロープが設置されています。
スロープの手前にインターホンがあるので、上るのが大変な人は介助を求めることができます。
『アクセス』
地下鉄南北線「中島公園」下車。3番出口より徒歩5分
車いすやベビーカーを利用している方はエレベータのある地下鉄南北線「中島公園」1番出口をおすすめします。
札幌市電「中島公園通」下車、徒歩5分
施設情報
所在地:〒064-0931 北海道札幌市中央区中島公園1番20号
電話番号:011-211-1951
営業時間:午前9時から午後5時 受付は午後4時30分まで
休館日:毎月第2火曜日 12月29日から翌年1月3日(火曜日が祝日の場合はその翌日)
観覧料:大人300円 中学生以下無料 年間パスポート500円 団体(20人以上)270円
(障害者手帳提示により本人と介助者1名、車いす使用者は介助が2名まで無料)
「豊平館」についてはこちら(新しいウィンドウが開きます)
豊平館は、公園内にあることや国指定重要文化財に指定されていることもあり、バリアがたくさんあるイメージがありましたが、アクセスするのに道幅が広く平坦でストレスなく行くことができました。
駅から少し距離がありますが、自然豊かで四季折々の姿を見せる公園や歴史を感じながら探索するのも良いのではないでしょうか。
近くによった際にはぜひ、訪れてみてはいかがでしょうか。