2020年06月09日掲載
みなさんは「障害者手帳」をご存じでしょうか?「障害者手帳」とは、障がいのある人が取得できる手帳の総称です。
「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」と大きく3つに分かれています。これらの手帳は障がい者ということを証明するだけではなく、生活をするうえでさまざまな支援を受ける時に必要とされています。
今回は、この3つの手帳の中から「身体障害者手帳」についてご紹介します。
ぜひご覧ください。
身体障害者手帳とは?
身体障害者手帳とは、身体に障がいのある人が生活をするうえで必要な支援を受けるための証明書です。例えば、公共交通機関の割引き、医療費の免除、各種福祉サービスの利用などがあります。
対象は「身体障害者福祉法(注1)」で定められた障がいに該当した場合で、都道府県から認定された人です。障がいの種類別に、程度に応じて1級から6級までの等級区分があります。ただし、障がいが認められた基準に合っていても、状態が一時的な場合は手帳は交付されません。
(注1)身体障がい者の自立と社会参加を促進するため、身体障がい者の福祉の増進を図ることを目的に定められた法律です。身体障がい者の定義や、受給できる福祉サービスについてなどが定められています。
東京都福祉保健局「身体障害者手帳について」はこちら(新しいウィンドウが開きます)身体障害者手帳を取得するためには?
手帳を取得するためには、住民票のある自治体に設置されている福祉事務所へ「身体障害者診断書・意見書」を持参して申請します。事前に各市区町村の窓口で申請書を取り寄せ、(注2)指定医に作成してもらいます。
申請を行うのは原則本人とされていますが、障がいの程度などが理由で本人で申請することが難しい場合は、家族や医療機関職員など(ソーシャルワーカーなど)に代行してもらうことも可能です。
また、15歳未満の場合は父母、義親、後見人などの代行も認められています。
必要書類のほかに印鑑や本人の顔写真(縦4cm×横3cm)なども必要です。証明写真については、写真用紙を使用すればデジタルカメラの利用も認められます。なお、「個人番号(マイナンバー)」の記載も必要となるので、番号確認と身元確認のできる書類も持参してください。
また、申請してから交付されるまでには通常、1か月程度かかります。
*身体障害者手帳に有効期限はありませんが、障がいの状態が変わったり、障がいが無くなった場合には「等級変更」や「返還」の手続きをしなければなりません。
(注2)診断書を作成できる医師は、身体障害者福祉法に基づいて指定されている医師と決まっています。
手帳を取得してできることとは?
身体障がい者の中には、日常生活を送る上で、車いす、白杖、補聴器などの支援機器を必要とする人もいることからこれらの支援を受けることができます。ただし、支援内容は、住民票のある自治体や障がいの状況(身体障害者手帳の等級)によって異なるので、個別に確認する必要があります。
主な障がい者福祉サービスの一例
- 所得税、住民税、自動車税などの軽減
- 鉄道、バス、航空機、高速道路などの各種公共交通機関の割引き
- 医療費、補装具(生活をする上で必要)、リフォーム費用の助成
- 携帯電話の基本料金割引きや、NHKの受信料割引き
- 美術館、博物館、動物園などの公共施設などでの入場料割引き
編集部員が身体障害者手帳を取得したときの状況については、以下のとおりでした。
視覚障がいメンバーの場合、目の症状が出てから少し時間をおいて、ロービジョン(弱視)の支援をされている眼科医から取得をすすめられ、診断書を書いてもらったそうです。
聴覚障がいメンバーの場合、指定病院で聴力検査を受け、診断書を書いてもらったそうです。また、担当した医師に筆談で対応してもらえたということでした。
肢体障がいのメンバーの場合、受傷から1年経過して、ようやく医師に診断書を書いてもらえ申請することができたなど、障がい状態や本人の障がいに対する受容によって異なるようです。
受けられる支援・サービスが都道府県や市町村によって違うため、住民票のある自治体に設置されている福祉事務所へ必ず確認してみてください。
今後は地域格差のない、そんな社会になって欲しいですね。