2020年11月17日掲載
秘書:10月1日に掲載したYouTubeのアクセシビリティ機能の紹介では、その中で少しだけスクリーンリーダーについて触れました。今回は、師匠と見習い君がそのスクリーンリーダーについて、いろいろと話しているようです。前編、後編と2回にわたってお送りいたします。今回は、その1回目です。
- WEBアクセシビリティ職人「見習い君」と「師匠」がアクセシビリティな世界を目指す
- このストーリーは、新人ウェブアクセシビリティ職人「見習い君」とベテラン職人「師匠」、解説を担当する「秘書」を通して特に障がい者をはじめ身体的な制約がある方たちがウェブ利用時にどの様な障壁にぶつかり、どの様な工夫をして克服しているかなど「ウェブアクセシビリティ」の実例をはじめ「ウェブアクセシビリティ」と共に重要な「社会的アクセシビリティ」についても紹介していきます。
スクリーンリーダーって?
師匠:この前、話したスクリーンリーダーについて覚えているか?
見習い君:視覚障がい者がPCやスマートフォンを操作できるように、声で情報を読み上げてくれる機能ですよね!
師匠:そうだな。
「スクリーンリーダー」日本語では「画面読み上げソフト」と訳されているんだ。
視覚障がい者や、ディスレクシアと呼ばれる、文字を目で見て理解することが難しい人たちが利用している。前回見習い君には、Windows搭載の「ナレーター」というスクリーンリーダーを体験してもらったんだったな。
見習い君:はい!
あのあとも、いろんな画面で「ナレーター」をしゃべらせてみましたよ!
すごいんです、僕が入力した言葉を全部読み上げてくれたりして。
師匠:ずいぶんと楽しんでいるようだな。だが、そのとおり。
スクリーンリーダーは、画面上の文字やカーソルの当たっている文字、操作について読み上げてくれるソフトなんだ。マウスポインターを認識できない視覚障がい者のために、ほぼすべての操作をキーボードから行えるよう開発されているソフト、という言い方もできるな。見習い君が体験したように、入力した文字はもちろん、変換中の漢字の候補にいたるまで、さまざまな内容を読み上げて操作をアシストしてくれるよ。
見習い君:本当にすごいものなんですね!
師匠:「ナレーター」のようなOS搭載のものから、インストールして使うものまで、さまざまな種類があるんだ。
見習い君:なるほどー。たしかに、PCもスマホも、得意な人もいれば苦手な人もいますもんね。それぞれ選べるようになってるんですね。
機械がしゃべる!?ごうせいおんせい?
師匠:スクリーンリーダーそのものもそうだが、しゃべってくれる声の元である、合成音声もさまざまなものが開発されているよ。
見習い君:ごうせいおんせい?
スクリーンリーダーが読み上げるときの、ロボットみたいな声のことですか?
師匠:そうだ。スクリーンリーダーだけでなく、銀行のATMやバスの車内アナウンスなんかで、人の話す声とは少し違う、カクカクした声を聞いたことがあるだろ?
見習い君:あぁ、ありますあります!
iPhoneのSiriも、話しかけるとロボットみたいな声で返してくれますね。
師匠:ロボットのようなカクカクした話し方をするものから、人の話し方にとても近いなめらかな話し方をするものまで、さまざまな種類の合成音声がある。人によって、聞き取りやすい声は違うからな。
見習い君:せっかくなら、僕はかわいい女の子の声でやさしく読み上げてほしいなー。
師匠:まあ、そういうニーズもあるかもしれないが…。ロボットのような話し方をするものは、高速で読み上げさせても聞き取りにくくならないといった特徴がある。大量の文章を扱うような仕事で、より効率的に作業したい場合なんかに力を発揮するぞ。
一方、なめらかな話し方をするものは、あまり合成音声を聞き慣れない人でも比較的聞き取りやすいんだ。
テレビのアナウンサーがしゃべっているようなきれいな発音で読み上げてくれるから、長く聞いていても疲れないという人もいる。これで読書を楽しんでいる人も多いな。
見習い君:スクリーンリーダーもその声となる合成音声も、使う人や目的によって選べるように、いろんなものが作られているんですね。
師匠:そうだな。
だが、画面上の文字や操作を読み上げてアシストしてくれるスクリーンリーダーだが、決して万能というわけではないんだ。
見習い君:そうなんですか?何でも読み上げてくれるのに?
師匠:本当に、何でも…と思うか?
秘書:二人の話を聞いていると万能そうに思える「スクリーンリーダー」ですが、師匠のニュアンスから察するにどうも万能ではないようですね。
次回も、このスクリーンリーダーについて紹介します。