2022年08月02日掲載
2023年、ラグビーのワールドカップがフランスで開催されることが決まっています。2019年のように日本代表が大活躍してくれることを願っています。
ラグビーには、健常者のスポーツとして15人制や7人制のほか、パラスポーツとして車いすラグビー(肢体不自由)やデフラグビー(聴覚障がい)、ブラインドラグビー(視覚障がい者)という競技があることをご存じでしょうか。
今回はブラインドラグビーの歴史や見どころを紹介します。ぜひご覧ください。
ブラインドラグビーの歴史
ラグビーの母国、イギリスで2015年に考案され、日本には2018年に紹介されました。
英国からコーチが来日して講習がおこなわれ、2019年4月に視覚障がい者と健常者が一緒にスポーツを楽しむことを目的に「一般社団法人 日本ブラインドラグビー協会」が設立され、共生社会の実現を目指して活動中です。
ブラインドラグビーの主なルールと見どころ
周囲が見えにくい状態で、ボールを投げたりキャッチしたりして、得点を競い合う視覚障がい者がプレーするラグビーです。1チーム7名でプレーし、タックルは禁止されていて、タッチでおこないますが、基本的なルールは一般的なラグビーと同じです。
試合中は1チームあたり5名以上、視覚障がい者が出場する必要がありますが、アイマスクを着用すれば晴眼者も視覚障がい者としてプレーすることができます。また、全盲の選手が出場する場合は、その選手をサポートするガイド選手を1名つけることができます。
選手同士のコーチングとコンビネーションで攻撃を組み立て、パスを回しながらゴールに一丸となって向かう姿は、とても視覚障がい選手とは思えない激しさです。
それを阻止しようと防御側は陣形を横にラインを組んでタッチすることで攻撃権を取り戻そうとします。
攻撃側が防御陣形を抜け出して、一気にトライに持ち込んでしまえる場面で、それをさせまいとして後退しながらもラインを組みなおして、ボール保持者にタッチを仕掛けるプレーは大きな見どころです。
編集部員が体験会に参加!
西東京のブラインドラグビーチーム、「アルコバレーノ東京」の練習に編集部員(ラグビー未経験・左手指麻痺)が参加してきました。 当日の体験者は私を含めて4名(ラグビー未経験は私のみ)。
最初はアイマスクをしてコーチの周りをゆっくり歩く、次に小走り、徐々にスピードを上げていって元に戻ってくる練習をします。
次は、ボールを持ってパスを回す、ラインを組んでゆっくりと前進しながらパス練習をします。
さまざまな弱視の見え方が体験出来るゴーグルをつけての練習も経験させてくれました。
視覚障がいは、さまざまなレベルがあることがわかり、よりブラインドラグビーを楽しむことができました。 チームのみんなで、走る、手をたたく、大きな声を出す、パスを欲しいと呼ぶ。体験者の中にはトライを決める人もいて、さすが経験者は動きが違うと感心しました。
私自身はコーチング・ティーチングを使ったコミュニケーションで、チームスポーツの本質に触れられたと実感でき、見えない怖さよりもできたことの喜びが大きく大変楽しめました。
アルコバレーノ東京のみなさんは練習・試合を通して、声を出す習慣が身に付いているからか、聴きやすく優しい口調で声掛けをしていただけるのも未経験者の私には心強かったです。
アルコバレーノ東京キャプテンの神谷考柄さんからのコメント
私たちアルコバレーノ東京では、ブラインドラグビー東京チームとしてこのスポーツの体験会や練習、普及・発展、視覚に障がいがある人たちの認知をとおして
健常者・性別を超えてラグビーを楽しみながら地域交流と発展をしていきたいと考えています。
チームスローガンに「感謝」を掲げて、チーム全員がブラインドラグビーを心から楽しみ、日本一をめざして日々活動しております。ご興味がある方はSNSなどからご連絡いただけると幸いです。
視覚に障がいがある人たちの可能性や、できないと思われることを可能に変える姿を体感できると思います。
今後ともブラインドラグビーを応援よろしくお願い致します。
アルコバレーノ東京 キャプテン 神谷考柄
体験会の当日は35℃の晴天で、大空の下で久しぶりに汗をかいてスポーツを楽しめました。
ブラインドラグビーは競技自体の歴史が浅いので、日本では選手がまだまだ多くないのが現状です。コロナ禍もあり練習環境や試合のマッチングも簡単ではないそうです。今後はもっとプレーする選手が増えて、競技の知名度が上がって欲しいと思いました。今回の記事で興味を持ち、選手・サポートメンバーとして体験会に参加してみたいと思った人は、問い合わせてみてはいかがでしょうか。将来の日本代表選手とそのサポートになれる可能性は十分にあるスポーツだと思います。