2022年09月13日掲載
秘書:以前「ウェブアクセシビリティってなに?」で簡単にウェブアクセシビリティの意味について学んだ見習い君ですが、師匠から色々な技術について学んできた今になって、再びその意味について考えているようです。 今回は「アクセシビリティ」という考え方が必要な配慮として条約・法律に書き込まれた、「障害者の権利に関する条約(以下:障害者権利条約)」と「障害を理由とする差別の解消に関する法律(以下:障害者差別解消法)」の内容を学びながら、ウェブアクセシビリティの意義について再確認しましょう。
- ウェブアクセシビリティ職人「見習い君」と「師匠」がアクセシビリティな世界を目指す
- このストーリーは、新人ウェブアクセシビリティ職人「見習い君」とベテラン職人「師匠」、解説を担当する「秘書」を通して特に障がい者をはじめ身体的な制約がある方たちがウェブ利用時にどの様な障壁にぶつかり、どの様な工夫をして克服しているかなど「ウェブアクセシビリティ」の実例をはじめ「ウェブアクセシビリティ」と共に重要な「社会的アクセシビリティ」についても紹介していきます。
条約・法律で求められるウェブアクセシビリティ
見習い君:んー…「障がい者が情報にアクセスできるように」っていうのはわかるけど、そんなに大事なものなのかなぁ。
師匠:どうした?また何かわからないことでもあるのか?
見習い君:いえ、これまで師匠から色々とウェブアクセシビリティに配慮したサイトの作り方について教わってきたのに、やっぱりまだ完全にはその意味というか、必要性が理解できていないのかなって、考えてたんです。
師匠:ウェブアクセシビリティの意味か?最初に説明しなかったか?
見習い君:簡単には説明してもらいましたが、結局これまで勉強してきた内容を何のために頑張ってるのか、本当に必要なのかわからなくなっているんです。
師匠:そうか、まだまだ理解が深まっていないようだな。それではここで一旦立ち止まって、基本的な背景を一緒に勉強しよう。
見習い君:はい!お願いします。
師匠:まず「ウェブアクセシビリティ」という言葉は最初に説明した通り、「高齢者や障がい者など心身の機能に制約のある人でも、年齢的・身体的条件に関わらず、ウェブで提供されている情報にアクセスし利用できること」という意味だ。そしてこの内容については、国連の条約や日本の法律で、対応が求められているのじゃ。
見習い君:えっ、そうなんですね!
師匠:もちろんだ。ではまずは、国連で採択されている障害者権利条約について教えてあげよう。
障害者権利条約
師匠:2008年5月に「障害者権利条約」が発効されたのじゃ。日本もこの条約の起草段階から積極的に参加し、国内の障害者制度の充実がなされたことから、2014年2月19日に批准したのじゃ。
秘書:障害者権利条約について、詳しくは以下ページをご参照ください。 「障害者権利条約 – 内閣府」(新しいウィンドウが開きます) 「障害者の人権や基本的自由の享有を確保し、障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的に、障害者の権利の実現のための措置等を規定しています。」
師匠:つまり、障がい者の尊厳と自己決定の尊重を確保するのが目的じゃ。
見習い君:なんだか障がい者にとって大事な条約だということはわかりましたけど、これとウェブアクセシビリティには何の関係があるんですか?
師匠:関係どころか、「アクセシビリティ」の考え方が必要な配慮として、第九条に載っているんじゃ。それでは一緒に確認してみよう。
第九条 施設及びサービスの利用の容易さ
「締約国は、障害者が自立して生活し、及び生活のあらゆる側面に完全に参加することを可能にすることを目的として、障害者が、他の者との平等を基礎として、都市及び農村の双方において、物理的環境、輸送機関、情報通信(情報通信機器及び情報通信システムを含む。)…施設及びサービスを利用することができることを確保するための適当な措置をとる。この措置は、施設及びサービスの利用可能性における障害及び障壁を特定し、及び撤廃することを含む…。」
師匠:あ、ちなみにこの条約の原文は英語で書かれているが、第九条「施設及びサービスの利用の容易さ」の部分は、英語では一言で「Accessibility(アクセシビリティ)」となっているのじゃ!
見習い君:なるほど!障がい者への対応について、いろいろと書かれているんですね。「情報通信」にウェブサイトも含まれていて、ウェブサイトのアクセシビリティで「ウェブアクセシビリティ」なんですね!
師匠:その通りじゃ!だが、これだけではないぞ。次は日本の法律の「障害者差別解消法」について教えてあげよう。
秘書:2人の話はまだ続きそうです。見習い君の疑問は解消するのでしょうか…。次回に続きます。