2022年10月11日掲載
秋も深まり、ゆっくり映画鑑賞でもしたいと思っている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、中には障がいがあって映画鑑賞が難しいという人もいます。
今回は、そのような人におすすめのユニバーサルシアター「CINEMA Chupki TABATA(シネマ・チュプキ・タバタ)」をご紹介します。
ぜひ、ご覧ください。
「CINEMA Chupki TABATA」とは
東京都北区、田端駅から徒歩5分ほどの「田端駅下仲通り商店街」に「CINEMA Chupki TABATA(以下、チュプキ)」という、映画館があります。
2001年から視覚障がい者の映画鑑賞を言葉でサポートしてきたバリアフリー映画鑑賞推進団体「City Lights(シティ・ライツ)」が、ネットやSNS、クラウドファンディングを通じて、募金を呼びかけ2016年9月にオープンしました。
全ての映画に音声ガイドと日本語字幕を付けて上映している座席がわずか20のユニバーサルシアターです。「チュプキ」は、アイヌ語で月や木洩れ日などの「自然の光」という意味です。その言葉をイメージして、ロビーには大きな「チュプキの樹」が天井まで生い茂っているイラストが描かれて、シーリングライトの光がまるで木洩れ日のようです。
そして、スクリーンがあるシアターも”森の中”のようにリラックスできる空間が演出されています。
ユニバーサルシアターのこだわり
チュプキは日本で一番小さい映画館であり、唯一のユニバーサルシアターです。
障がいのある人もない人も映画を一緒に楽しめるようにさまざまな工夫がなされています。
詳しくは以下のとおりです。
<視覚障がい>
360°音に包まれるような感覚になる「7.1.4ch」のこだわりの音響設計です。上映する映画全てに音声ガイド(注1)が付いています。
全座席にあるイヤホンジャックに左右の音量が調節できるレバーが付いています。
音漏れが気になる人や片耳タイプのイヤホンしか使わない人にも使い勝手が良く、希望者にはイヤホンを無料で貸し出しています。
(注1)音声ガイドとは、映像の視覚情報(場面や登場人物の表情など)を言葉で解説することです。
<聴覚障がい>
上映する映画全てに日本語字幕が付いています。
全座席にあるイヤホンジャックに装着できる「抱っこスピーカー」という筒状のスピーカーを無料で貸し出しています。このスピーカーを膝の上で抱いて映画を鑑賞すると音が振動するため、より映画の臨場感を体感することができます。
また、場内アナウンスやトークイベントなどに「UDトーク(注2)」も利用できます。
(注2)UDトークとは、パソコン・タブレットなどの各種デバイスを使ってコミュニケーションができるソフトウェアです。
<肢体不自由>
車いすスペースは一番後ろにありますが、ほどよい距離感です。全面バリアフリー設計のため、入り口から車いすスペースまではフラットになっていて、前の座席に座りたいときにはスロープを出してもらうことも可能です。
また、多目的トイレではありませんが少し広めのトイレはあります。ただし、リクライニングなどができる大きな電動車いすには対応していません。
<親子鑑賞室>
「親子鑑賞室」という個室があります。大人2人が一緒に入れるほどのスペースがあるため、小さな子供づれでも十分楽しむことができます。
親子と名前が付いていますが、1人で集中したい人、友人とおしゃべりしながら映画鑑賞したい人など、さまざまな映画鑑賞に対応した完全防音構造です。
落ち着く明るさの照明や音量(4段階調整可)は、敏感な発達障がいの人におすすめです。
<チケット情報など>
一般1,500円/シニア(60才以上)1,100円/学生・ユース(22歳以下) 1,000円/中学生以下 500円/プアエイド割引1,000円(注3)
(注3)会員特典、もしくは作品により料金が変わる場合があります。その他、WEB予約など詳しくは下記よりご確認ください。
「CINEMA Chupki TABATA」WEB予約についてはこちら(新しいウィンドウが開きます)
施設情報
所在地:〒114-0013 東京都北区東田端2-8-4
TEL&FAX:03-6240-8480
定休日:水曜日
「CINEMA Chupki TABATA」HPはこちら(新しいウィンドウが開きます)
<代表の平塚さんからのコメント>
2022年10月22日〜、新宿K’s cinemaを皮切りに、シネマ・チュプキが初製作したドキュメンタリー映画『こころの通訳者たち What a Wonderful World』が、全国で順次公開されます。聴こえない人に演劇を届ける舞台手話通訳者たちのドキュメンタリー映画を、見えない人に届けようと、音声ガイドづくりに悩み、対話を重ね、チャレンジする私たちを記録していただいた映画です。この映画を通じて、多様な人と、映画鑑賞体験を共にする、ユニバーサル上映の意義と価値を、もっと世の中に、広めていきたいと思っています。百聞は一見にしかず!是非、シネマ・チュプキ・タバタにも、ご来場ください。
私は映画が大好きですが、車いすユーザになってからは映画鑑賞の機会は少なくなりました。なぜなら、車いすスペースのWEB予約ができなかったり、一番前や一番後ろなどしか選べなかったり、とにかくストレスを感じることが多いからです。
しかし、今回ご紹介したチュプキではWEB予約ができ、車いすスペースは一番後ろですが遠いと感じることがありませんでした。
また、上手くは言えませんが、映画をみんなで一緒に共有しているという不思議な感覚になりました。
商店街の人たちは、チュプキができてから自然と相手を想いやれる人が増えたと言います。
優しい気持ちが、木洩れ日のように広がっているのかもしれませんね。
小さいけれど、心が広くなれるようなシアター、それがチュプキです。
ぜひ、みなさんもチュプキで今までに経験したことのない映画鑑賞をしに行ってみてはいかがでしょうか。