2023年04月04日掲載
みなさんの中には、待ち合わせや打合せ、休憩場所などにカフェを利用するという人も多いのではないでしょうか。今回は、そんなカフェで障がいがありながらバリスタとして活躍する方々をご紹介します。
株式会社ベル・ソレイユ(以下:ベル・ソレイユ)は、コンタクトセンターアウトソーシング事業を展開する「株式会社ベルシステム24ホールディングス(以下:ベルシステム24)の特例子会社(注1)です。ベルシステム24本社内のプレミアムカフェで、現場を管理するヤスマさん、アビコさんに現場ならではのエピソードを、バリスタさんたちからはコメントをいただきました。
(注1)障がい者の雇用促進を目的に設立され、障がい者が働きやすい職場環境が整備された会社です。特例子会社で雇用されている障がい者は、親会社の法定雇用率に算定できます。
プレミアムカフェとは
ベルシステム24では、多様な人材による多様な働き方の実現を目的としたSDGs並びに多様な人材の活躍機会を提供する「多様性プロジェクト」の一環として、2019年2月に当時の勝どき本社(現在オフィス移転に伴い、神谷町本社)に社員と来客者が利用できるカフェをオープンしました。
オープンに向けて、当時、ベル・ソレイユ内で働いていた10名に個別ヒアリングを実施。総合的にカフェ業務に向いていると判断された2名がコーヒーの品質に定評のあるミカフェート(注2)で2か月間ほど研修を受けました。
研修期間は試行錯誤の繰返しでしたが、文字よりも写真や図を使ったマニュアル作成、それぞれの性格にあったOJTを実施するなどの工夫をすることで、2名は徐々にハンドドリップの技術が向上してゆき、ミカフェートの川島社長からの「ゴーサイン」をいただき、カフェをオープンすることができました。
オープン当初は社内での宣伝活動として、試飲提供やワゴン車での販売を実施。コーヒーを淹れるだけでも初めての経験なのに、接客や決済処理、備品の整理、掃除などカフェ運営に関するさまざまな業務があり大変でしたが、現在は、現場のメンバーだけで運営できるようになっています。
(注2)ミカフェートは川島氏が代表を務め、高品質なコーヒーの提供と共に、コーヒーを通じたSDGsをすすめる法人。
ベル・ソレイユの主な業務内容
- ・オフィスコーヒープロジェクト
- 障がい当事者によるプレミアムカフェの運営。
- ・事務・清掃作業
- 文房具など備品の整理提供や名刺印刷。その他、事務作業や入力作業。
本社オフィス内の清掃。 - ・チョコレートプロジェクト
- 愛知県豊橋市に「チョコレート工場」を開設。共同で運営する久遠チョコレートは、 サスティナブルチョコレートを使用して社会の課題改善を目指しています。
- ・農園、胡蝶蘭プロジェクト
- 千葉県船橋市の「わーくはぴねす農園」では無農薬で丁寧に野菜を栽培。また、千葉県富津市では「AlonAlon」で胡蝶蘭の栽培にも参画しています。
バリスタたちが創る憩いの空間
1.香りと味が素晴らしいコーヒー
「障がい者が淹れるから」ではなく「おいしいから飲みたい」をモットーにしています。
豆からこだわり、注文を受けてからハンドドリップで提供します。
ミカフェートで学んだ方法を守ってバリスタさんたちが淹れたコーヒーは、ほどよい酸味と独特の香りがあり、とても美味しいです。
2.飽くなきチャレンジ精神
2019年に本社でカフェを開設して以降、バリスタさんたちを増員、また各拠点にもカフェも増設しています。
さらに、定期的にスポットカフェを実施、松江のセンターで行われた20周年式典では、出張をして300杯以上のコーヒーを提供しました。
2022年には、バリスタ コンペティションである「CHALLENGE COFFEE BARISTA大会」に参加!
チーム「Café de Bell」として、神谷町本社カフェに勤務する4名で挑戦しました。
3.お客様へのサービスと感謝の気持ちを忘れない
当初は一種類だけだったコーヒーもサイズをノーマルにプラスしてラージを追加。さらに新しく紅茶も追加いたしました。
お客様である社員の皆さんとコミュニケーションを大事にして、接客のあいさつ、ポイントカードを作成して常連さん作り、会計時のお礼を大切に心掛けています。
また、本社移転に伴い、執務室の中心にカフェが設置されたことで、執務室とカフェとの距離が近くなり、社員の皆さんとのコミュニケーション量も増えました。
バリスタさんのコメント
聞き手:入社されてからバリスタとして働くことになり、いかがですか?
アサノさん:コーヒーと接客が好きなので嬉しかった。
スガノさん:予想外だった。
コバヤシさん:言われた時はうれしかった。
聞き手:提供するコーヒーの品質安定はとても難しいと思います。お仕事で大変なことはありますか?
アサノさん: 決済は難しい部分もあるが落ち着いてやるようにしている。
スガノさん: 89°Cから91°C温度管理が難しい。
コバヤシさん: 丁寧に
ハンドドリップして淹れるように心掛けている。
聞き手:チーム「Café de Bell」として「CHALLENGE COFFEE BARISTA大会」に参加してどう感じましたか?
アサノさんとスガノさん: 最近の中で一番緊張した。
コバヤシさん: 基本は同じだったが、優勝するチームはすごかったので参考になった。
聞き手: お仕事されていての喜び、モチベーション維持のコツなどあれば教えていただけないでしょうか?
アサノさん:お客様との会話が楽しい。
スガノさん: 美味しいと言われたらやる気が出ます。
コバヤシさん: ありがとうと言われた時にやる気がでる。
ご担当者からのコメント
ベル・ソレイユは、さまざまな障がいがある社員の自立支援と活躍の場を広げることを目的に設立しました。現在、多様な個性がある障がい者社員が各地のカフェで働いています。
親会社である、株式会社ベルシステム24ホールディングスは、1982年よりコンタクトセンターアウトソーシング事業を全国38拠点で展開し、約3万人の従業員を擁しています。多様なバックグラウンドを持つ従業員が安心して、長期にわたり勤務できる環境の創出に向け取り組んでいます。
ベル・ソレイユにおいても、それぞれの職場や仕事で障がいのあるスタッフが安全にそして楽しく働けるような環境作りに配慮するとともに、スキルアップや多くの社員とふれあう機会を設けることで社会人としての自立を促していけるよう日々心掛けています。
会社情報
会社名:株式会社ベル・ソレイユ
本社所在地:〒105-6906
東京都港区虎ノ門4-1-1 神谷町トラストタワー6F
TEL:03-6896-6311
従業員数:45名(2022年2月時点) (うち障がい者33名)
ベルソレイユ公式HPはこちら(新しいウィンドウが開きます)
今回は、素敵なバリスタさんが活躍する株式会社ベル・ソレイユをご紹介しました。
ヤスマさん、アビコさんの「短所がどうこうよりも、(社員の)いいところを残していく方向で指導していくような形で運営している」という言葉が印象的でした。
2人が気を配っているのは普段からバリスタさんたちの性格を把握して、日常業務でもそれを活かしてフォローアップされているそうです。毎日のカフェ運営の中では、小さな失敗はどうしても無くすことはできません。その失敗を長く引きずっているようだったら、必要に応じて個別面談を実施してバリスタさん達を励ましているということでした。
取材中もカウンター越しに見える接客とハンドドリップをスマートにこなす姿は、こちらの質問にコメントしてくれた時の少し照れくさそうに、言葉を選びながら話してくれる姿とのギャップがとても素敵でした。