NTTエレクトロニクス(株)は、NTTグループの中でも
早くから積極的に障がい者雇用を推進してきた会社の一つです。
社員が何らかの事情で障がい者になった場合でも、
それまでの経験を生かしながら、安心して勤務を継続できる職場環境を作ることが
会社にも本人にもよい結果を生むという考え方で取り組んでいます。
当社では現在、横浜本社で7名、茨城事業所(工場)で2名の障がい者が勤務しており、従来から勤務している社員が引き続き働くというケースが主となっています。社員が障がい者になったとしても、それまで長年にわたって築いてきた経験豊かな貴重な人材を失うのは会社にとって大きな損失です。社員もこれまでと同じように仕事ができれば、精神的な負荷や経済的な不安などを感じることなく生活を続けることができ、双方によい結果が生まれます。
身体障害者手帳を取得して会社に通知してもらえば、法定雇用率の充足に近づくということもありますが、税金面の控除や医療費の助成など様々な福祉サービスが受けられるので本人にとってメリットがあると思っています。本年度に入り、すでに2名の社員が身体障害者手帳を取得しました。以前は、取得に抵抗があるという声もあったようですが、最近では取得のメリットを理解し、抵抗感も薄らいでいるようです。社会のセーフティーネットとしての障害者手帳は積極的な活用要素ととらえています。
今回登場してもらった平岡さんは、単身赴任中に心臓に病気が見つかり、植え込み型除細動器(ICD)を装着しました。そこで、産業医の先生とも相談して単身赴任を解消するとともに、電磁波の影響がある製造部門を避けて企画部門に配置換えし、本部と事業部との間の調整などの仕事を担当してもらっています。当社の製造業に対しての基本をよく知っており、新しい職場でもそうした強みを発揮してくれています。
障がい者の新規採用は多くはありませんが、障がいがある社員の場合、広報の仕事が得意で、筆談やメールを使って問題なく仕事をこなし、業務の中心的な存在となって活躍しています。このように、障がいがあっても、その人にあう仕事は必ずあると考えています。
今後は、新卒者の採用をもっと増やしていきたいですね。障がい者雇用に対する現場理解の浸透を図りつつ、一方でNTTクラルティ(株)の協力も得ながら、取り組みを進めていきたいと考えています。
私の場合、普段から産業医の先生には体調面の相談をしていますし、会社のフォローもありますが、日々の仕事や生活の中で特別扱いしてもらっているという意識はありません。業務量などは事前に上司と相談してきちんと計画していますし、残業が多ければ総務からチェックも入りますが、これらもほかの社員と変わりません。ノー残業デーを徹底して、健康面での自己管理も行っています。
身体障害者手帳の取得は、医師から説明を受けていたので当然と考えていました。障がいを得ても以前と同じように働けるのは、非常にありがたいことだと思っています。職場でも「障がい者だから」というのではなく、お互いに普通に接することのできる人間関係が築けているので、これからも無理なく仕事を続けていきたいですね。また、今後は職場の先輩として、障がい者採用への応募者に向けた情報提供や助言など、機会があれば協力は惜しまないつもりです。
NTTグループで唯一、工場を持つNTTエレクトロニクスグループ。精密部品の製造工場はクリーンルームとなっており、車いすは静電気の帯電が製造の支障となるため、またペースメーカー等は電磁波の影響を受けて危険なため、入場できないという制約があります。一方で、それ以外の屋内エリアには、建物が2001年建造と比較的新しいこともあり、車いす対応のエレベーターやトイレ、幅広の入退場ゲートなどの施設を整備し、屋外にも駐車場からスロープを通って出入りできる動線が確保されているなど、障がい者に配慮された職場環境を整えています。