障がい者が継続して働き続けられる職場環境を整え
さらなる雇用の拡大をめざす
NTTアドバンステクノロジ(株)は、2020年の法定雇用率達成に向け
グループ全体で障がい者雇用を推進しています。
徳島県にあるグループ会社、NTT-ATクリエイティブ(株)では、
2018年3月から働き始めた知的障がい者が
仕事への熱意と持ち前のコミュニケーション力を発揮し活躍しています。
執行役員 経営企画部
短期間で知的障がい者の雇用を実現
当社の親会社であるNTTアドバンステクノロジ(株)では、2020年に向け単独での法定雇用率達成を目標に障がい者雇用を推進しており、グループ会社全体で同様の取り組みを進めています。当社の事業分野は主に、半導体および医療関連部品等の精密洗浄、光コネクタ用クリーナをはじめとする親会社からの製造受託、NTT グループ商品の出荷代行業務の三つで、最高でクラス100(FED-STD-209D)のクリーンルーム等の清浄設備を持つのが強みです。
障がい者雇用の具体的な取り組みを始めたのは2017年8月です。当初よりNTTクラルティ(株)の全面的な支援を得て、まずは障がい者が担当できる業務の洗い出しから始めました。ハローワークや障害者就業・生活支援センター「わーくわく」(以下、支援センター)とも相談を重ね、就労可能な業務として組立作業や洗浄作業などを選出しました。
次に、支援センターに候補者2名を推薦してもらい、業務説明会や職場見学会を開催しました。さらに各2週間の実習期間を設け、面談等も実施した後、2018年3月に知的障がい者1名、阿部礼子さんをパート社員として採用しました。社員に対しては事前に障がい理解研修を実施するなど、NTTクラルティ(株)と支援センターに知的障がいの特性や現場での対応などを講義してもらいました。
実際に彼女の働きぶりを見ていると、ときに健常者を上回るほどのひたむきさや向上したいという強い思いを感じて、こちらまでやる気が出てきます。非常に前向きで、職場にも溶け込み、仕事でも高い集中力を発揮してくれます。何より、本人が毎日喜んで出社してくれていることが一番うれしいですね。
今後は、法定雇用率の達成に向けて積極的に採用を検討する方向です。そのためにも障がい者が安心して仕事を継続し、定着できる職場環境を整えていきたいと思っています。
障がいがあっても働き続けられる
当社に採用されて約7カ月になります。転職する際には、支援センターの担当者に相談して、当社を紹介してもらいました。入社前の実習では、実際の作業を行いながら、職場の人と接することができたので、職場雰囲気が伝わり安心して転職することができました。
現在の仕事は、出社して、まずパソコンでその日担当する作業を確認し、持ち場について作業をするという流れです。内容は、清浄用の布テープのほどき等の準備作業だったり、巻いた布テープを透明の袋に入れて箱に詰めたり、製品を組み立てる作業をしたりといろいろです。
15年働いていた前職ではコミュニケーションのすれ違いで悩んだ時期もあったので、今の職場では自分から明るく話しかけるように心がけています。周りのみんながやさしく支えてくれて、障がい者だからと決めつけることなく接してくれるので、とても良いコミュニケーションがとれています。それがやる気にもつながっています。
今の仕事にはだいぶ慣れてきましたが、人と同じ速さでやろうとして焦ってしまい、失敗することがまだあります。今後はそういう失敗をなくしながら、みんながやっていることは何でもできるようになりたいと思います。そして、定年まで勤めたいと思っています。障がい者であっても「気持ち」次第で働き続けることはできるものです。自分の姿を通じて、そのことをもっと広めていけたらいいと感じています。
いつも明るい笑顔で話の輪の中心に
阿部さんは、毎朝誰よりも早く出社して作業の準備をしています。ご主人と小学3年生のお子さんがあり、育児と家事をしながら働いているので大変だと思うのですが、苦労など何もないというような笑顔で、毎日明るくがんばっています。
配属前は、知的障がいの特性が分からなかったため、作業工程をひらがなで書いたり、色分けしたりした指示書を作って準備していましたが、実際にはそうした配慮はほとんど必要ありませんでした。覚えるのが早く、一つのことに集中して一生懸命取り組むので、次々に種類の違う作業ができるようになっています。また、小さなトラブルの段階できちんと報告もしてくれるので、大きな事故につながることはありません。安心して任せられています。
ただ、作業内容が毎日変わるため、久しぶりに担当する作業だと少し戸惑うことがあるようです。そういう時は私たちが最初だけサポートに入って、作業の流れを確認し合います。また、本人は仕事が遅いことを気にしていて、焦ってしまい失敗することがたまにあるので、いつも「人と合わせなくても大丈夫」と言っています。実際は他の人より早くできる作業もあるほどなのですから。
阿部さんはコミュニケーションがとても上手で、いつも話の輪の真ん中にいます。私たちも、彼女に障がいがあることを普段はほとんど忘れてしまうくらいです。今日の話を聞いて、そういう面でも彼女が努力していることがよく分かりました。これからも、お互いに支え合いながら、良い緊張感を持って楽しく仕事を続けていきたいと思っています。
NTTアドバンステクノロジ(株)では、グループ全体で障がい者が安心して長く働き続けられる職場環境づくりに日々取り組んでいます。今回は、NTT-ATクリエイティブ(株)で持ち前の明るさと能力を発揮し、生き生きと働く阿部礼子さんの職場での様子を紹介します。
-
毎朝、PCで1日の作業内容を確認。今日は「ほどき」作業からスタート
-
「ほどき」の作業手順が、色分けして分かりやすく掲示されている
-
丁寧に素早くテープをセットしていく(「ほどき」作業の一部)
-
集中して作業を行う(「ほどき」作業の一部)
-
お昼には、仲間のためにお茶を準備
-
仲間とのおしゃべりはホッとするひととき