協賛企業各社
障がい者雇用などの取り組み

NTTファイナンス(株)

定着率を大切に
精神・知的障がい者の雇用を推進

NTTファイナンス(株)は、NTTグループの中でも
障がい者雇用を積極的に推進しています。
特に精神・知的障がい者の雇用に注力し、
北関東・信越総合料金センター事務サービス部をモデルセンターとして
働きやすい職場環境の創出に取り組んでいます。

精神・知的障がい者の採用に注力
北関東・信越総合料金センター事務サービス部を
障がい者雇用のモデルセンターに

NTTファイナンス(株)には現在、100名を超える障がい者が勤務しており、そのうち約4割が精神・知的障がい者です。障がい者雇用に際しては、各自の特性を把握するため、NTTクラルティ(株)の協力も得て、採用前に2週間の業務実習や個別の面談を行っています。さらに、採用後は障がい者が職場に溶け込めるように各部門のサポートメンバーが、障がい特性や健康面の配慮はもとより個々人にあった業務の差配・指導及び健常者との懸け橋を担うなど、きめ細かい配慮を行っています。一般的に精神障がい者は職場定着が困難な方が多く、一年後の定着率は約5割と言われています。しかし、当社では約9割の方が継続して勤務しています。それは、こうした積み重ねによるものだと思っています。

このように障がい者雇用については、やりがいを持って長く働いてもらうことを大切にしています。

2016年11月に、北関東・信越総合料金センター事務サービス部(当時・埼玉料金サービスセンター)に精神・知的障がいのある社員が中心となって働く組織としてビリングサポートグループを設立しました。障がい者雇用のモデルセンターとして、障がいのある社員のやりがいある職場づくりに取り組んでいます。

ビリングサポートグループでの成功事例や体験事例を共有することで障がい者雇用に不安を抱えている企業の参考になればとの思いから、今年3月に、企業の障がい者雇用促進のためのシンポジウム「第19回日本リハビリテーション連携科学学会大会」に参加しました。また、2018年2月からは、障がいのある社員が勤務時間・人数など柔軟に対応できる「アソシエイト社員」という雇用区分を新設しました。これによって障がいのある社員が安心して働くことができる選択肢が増えました。

今後は定年退職を迎える障がいのある社員が増えるという課題もありますので、障がい者雇用に対する全社的な理解の促進をはかる「障がい理解研修」「心のバリアフリー研修」などを継続的に実施しながら、これからも積極的に障がい者雇用に取り組んでいきます。

顔写真:中島 香織さん
総務人事部 人事部門 ダイバーシティ推進室長
中島 香織さん
担当者インタビュー
北関東・信越総合料金センター
事務サービス部
主査座古 紀子さん
顔写真:座古 紀子さん
障がい者と健常者の抱える不安を取り除くため
情報発信の工夫で相互理解を深めてきた

北関東・信越総合料金センター事務サービス部では、精神・知的障がいを中心に24名の障がい者が勤務しています。そのうち22名は障がい者とサポートメンバーで構成するビリングサポートグループに所属しています。ビリングサポートグループには日々の体調管理等に適した独立した部屋を作りました。今は全員が職場に溶け込んでいます。仕事は健常者と同一の事務室で行うため、ビリングサポートグループの部屋にはいないことの方が多くなっています。

私は、事務サービス部(当時は、埼玉料金サービスセンター)で障がい者雇用を始めたときからサポートを担当しています。初期の段階は、1日約3,000〜5,000通の口座振替依頼書等の対応を担当してもらいました。具体的には、①申込書の開封・仕分け、②契約者名などの基本情報のシステム投入、③書類の封入・郵送、④申込書の送付処理を行っています。事前の業務実習で理解できていても、実際に働き始めると戸惑ったりする場面があったので、その都度申込書の仕分けに使うツールを作成し、業務マニュアルを扱いやすいよう小型化したりと、細かな改善を重ねてきました。ビリングサポートグループができて約2年になりますが、今では、業務の範囲も種類も広がってきています。

また、最初のうちは障がい者、健常者とも、互いに接し方が分からず、不安になったり、距離を取り過ぎたりすることもありました。特に健常者には「不用意に声をかけて、障がい者を傷つけたくない」といった不安があったようです。そこで、障がいごとの特性の説明や、似顔絵付きの自己紹介を掲示するなどして、理解を促していきました。

手書きの似顔絵付きで、障がい者の自己紹介や障がいの特性がまとめられた共有ボードの写真
センター内の共有ボードに似顔絵付きで自己紹介。障がいの種類や特性も紹介
働き続けたいという思いが
仕事への意欲や定着率につながる

ビリングサポートグループメンバーには「この職場で働き続けたい」という強い思いを感じています。「前の職場では、仕事は教えてもらえたが、お昼はいつも一人だった」などの話を聞くことがあります。今は一緒に働く仲間がいて、話し相手がいる−−その安心感が、仕事への意欲や高い定着率につながっていると思います。

一方で、障がい者と健常者が一緒に働く上で相互理解度「100%」を求めてはいけないとも思います。個々の障がいの特性を100%理解することは難しいからです。もちろん、一人ひとりを理解する努力は常に必要です。ですから、分からないことがあれば、直接本人に聞いています。そしてときには、言いにくいことでも必要なことであればきちんと伝えるようにしています。ある社員から「ここでは、違うことは違うとはっきり言ってくれるからうれしい」と言われたときうれしくなりました。

ビリングサポートグループの部屋には「人と比べない!」「1人で考えすぎない」「何度聞いても大丈夫!」「『報連相』は大事!」という標語を掲げています。障がい者も健常者も区別なく、同じ「個性」ととらえることが一番です。

  • 5名が作業するなか、男性の障がい者同士が作業を確認し合っている様子
    障がい者同士で作業を確認し合う
  • 女性3人が並んで作業する写真。1人の障がい者を2人のサポートメンバーが挟んで、一緒に仕分け作業をしている様子
    2人のサポートメンバーに囲まれて、ときには笑い声も
  • 仕事をする上で心がけてほしいことを文字にして掲示している写真。「報 連 相」は大事です、などの言葉が書かれている
    大事なことは言葉にして、ビリングサポートグループの部屋に掲示
障がい者雇用のモデルセンターとしてシンポジウムに参加

2018年4月から障がい者雇用義務の対象に精神障がい者が加わりました。それに先立ち、3月3日、企業が精神障がい者の就労支援や定着を目指して、どのような取り組みを行っているかを紹介するシンポジウム、「第19回日本リハビリテーション連携科学学会大会」が開催されました。NTTファイナンス(株)からはシンポジストとして座古紀子さんが参加し、障がい者雇用は、不安を越えて、まずは始めることが大切なこと。そして、会社の一員となり必要とされることで、健常者とともに生き生きと日々成長する障がい者たちの姿を紹介しました。

聴講された方から「非常に参考になった」「感銘を受けた」などの声が聞かれました。

  • 男女たくさんの方々が聴講するなか、プロジェクターで映される資料や手話通訳を交えて発表する座古さんの様子
    「障がい者雇用の推進」について発表する座古さん
  • 講演後、座古さんと他の講演者2名を加えて行われた意見交換会の写真
    参加者からの質問に答える意見交換会